【医師監修】海外赴任中のメンタル不調(うつ病等) は回復まで300日以上? 予防と対策の重要性

Contents
メンタル不調対策の重要性
海外在住日本人の自殺の死因率は、国内の自殺による死因率の約4.5倍
自殺大国と言われている日本。調査によると、G7に該当する国々の中で15~34歳の年代で死因の1位が自殺なのは日本のみとなっています。
死因の割合に注目すると、全死亡者数のうち、自殺による死者は日本国内では約1.85%と言われていますが、海外に住む日本人については、自殺による死者は8.4%と約4.5倍となっています。海外赴任者や移住者など、海外在住日本人のうつ病などメンタル不調対策の重要性がうかがえます。(出典:海外邦人救護統計(外務省))
海外赴任中のメンタル不調、業務への影響は?
海外赴任の例を取り上げて、うつ病などメンタル不調の影響やその原因、メンタル不調の医療相談事例、メンタル不調の対策についてまとめます。
海外赴任中にうつ病にかかった場合
まずは、海外赴任中にうつ病にかかった場合のメンタル不調のリスクについてご紹介します。厚労省の調査によると、うつ病を発症した場合、会社を休む期間では約90日、通常の業務がこなせるまでの期間を合わせると約350日近くかかるという結果が出ています。風邪やがん、骨折などと比べて、うつ病などのメンタル不調は、何倍も復帰に時間がかかることがわかります。

上記調査結果より、海外赴任者がうつ病などメンタル不調により勤務できなくなることで、業務に相当な影響が出ることがわかります。さらに、うつ病は再発率も高く、一度うつ病にかかると長期的なメンタルケアが必要になります。
海外赴任者のうつ病などメンタル不調による、会社側の責任は?
民法上の取扱いでは、海外赴任者のメンタル不調対策など、健康管理については、派遣元企業に安全配慮義務(民法 415 条)があります。従って、会社がとるべき安全配慮義務を欠いたと認められれば、海外赴任者の派遣元企業が債務不履行責任を負います。また、不法行為に基づく責任(民法 709 条)が認められる場合もあります。海外赴任者が自殺をするなど最悪のケースに陥った場合、会社が訴えられるリスクがあるとも言えます。

【うつ病などメンタル不調が起こったら?】海外赴任者への医療相談事例
ここで、弊社Medifellowのオンライン医療相談サービスにて、海外赴任者へ専門医によるメンタル不調の医療相談を行った事例をご紹介します。
北米在住の50代女性。
初めての海外赴任にて、慣れない業務や生活からストレスがかかり、不眠症や食欲低下、集中力低下などメンタル不調。今後のメンタル不調対策について専門医の意見を聞くべく医療相談。
↓
専門医が現在の症状についてヒアリングをし、回答。
今後は会社に相談し、医療機関の受診や業務負担の軽減、必要に応じて帰国するなどにより、メンタル不調の改善を図ることを推奨。その後経過観察。
日本人の専門医が実際に症状を聞いて今後の提案をすることで、不安の軽減や原因の追求・改善につながり、大事に至る前にメンタル不調問題について会社と連携し、最善策につなげることができました。

海外赴任中のうつ病などメンタル不調の原因と予防は?
海外赴任でのうつ病など主なメンタル不調問題の原因は、日本人社会での人間関係、担当業務の多さ、言葉や文化の違い、現地社員との関係、帯同家族に関することなどが考えられます。
海外赴任時は、言語や文化、生活習慣、コミュニケーションなどさまざまな原因でストレスを溜めやすく、発散しにくい環境、うつ病などメンタル不調に発展しやすい環境であることが考えられます。
会社が準備すべき、メンタル不調対策に関わる厚労省の指針「4つのケア」
では、どのようにうつ病などメンタル不調問題の予防、対策をするのがいいのでしょうか。
会社が行うべき対応策として、厚労省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、以下の4つのケアを推奨しています。
- セルフケア:自身でのメンタル不調ケア
ストレスやメンタル不調に対する正しい理解を与え、自ら気づき対処ができる環境を整える
- ラインケア:上司や管理者などによる、部下のメンタル不調ケア
従業員からの相談を受けやすい環境を整え、職場環境などの把握と改善、従業員のメンタルケアを行う
- 産業保健スタッフなどによるケア
上記のセルフケアや、ラインケアが効果的に実施されることを目的に、産業保健スタッフなどが、従業員および管理職を支援。メンタルケアの実施企画立案、ネットワークの形成やその窓口を行う
- 事業場外資源(組織外資源)によるケア:外部サービスなどを活用したメンタル不調ケア
情報提供や助言を受けるために、オンライン医療診断などの外部サービスを受けられる環境を整える。
参考:厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」
大事に至る前に、うつ病などメンタル不調問題の早期発見・治療につながる環境をあらかじめ整えておくことが重要になります。
その他、うつ病等のメンタル不調に関する記事
海外赴任・従業員の健康診断、メンタル不調等の健康管理について
企業・職場のストレスチェック メンタル不調は回復まで300日以上?
「4つのケア」とは?企業・職場のメンタルヘルス対策 ~厚労省指針~
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【本記事の監修・丹羽崇(医師)】
神奈川県立循環器呼吸器病センターおよび倉敷中央病院にて臨床研究管理者・呼吸器インターベンション 指導医を兼務。総合内科・呼吸器・気管支鏡の専門医・指導医など。国内外学会での活動実績や受賞歴を複数有。

●海外赴任者のうつ病など企業のメンタル不調対策に弊社サービスをご活用ください。
10,000件以上の相談実績有。精神科・心療内科(メンタル不調対策)含む全ての診療科33科に対応、500人以上の日本人専門医の体制で運営するオンライン診療・医療相談サービスです。
海外赴任者のうつ病などメンタル不調の企業対策のために、まずはお問い合わせください。国内従業員含めた対応も致しております。
法人(海外赴任者)うつ病などメンタル不調対策などの利用について
編集者プロフィール

- 人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。
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