海外赴任メンタル不調(うつ病等) 回復まで300日以上? 海外赴任メンタル不調対策【医師監修】

メンタルヘルスケア

■海外赴任メンタル不調対策の重要性:自殺大国と呼ばれる日本。海外在住の日本人の自殺の死因率は?

自殺大国と言われている日本。G7の15~34歳の年代で死因の1位が自殺なのは、日本だけとなっており、海外赴任者のうつ病等メンタル不調対策の重要性がうかがわれます。(日本の15~39歳の各世代の死因の第1位は自殺:出典 厚生労働省「2020年版自殺対策白書」)
(出典 東洋経済ONLINE「自己肯定感が「低い日本人」「高いドイツ人」の違い」)
自殺の人数が全死亡数に占める割合は、日本国内では約1.85%と言われていますが、海外に住む日本人については8.4%と4.5倍となっており、より一層の海外赴任者のうつ病等メンタル不調対策の重要性もうかがえます。(出典:海外邦人救護統計(外務省))

今回は、海外赴任の例を取り上げて、うつ病などのメンタル不調問題やその原因、メンタル不調の医療相談事例、メンタル不調の対策についてまとめます。

■海外赴任メンタル不調の業務への影響は?海外赴任でうつ病にかかった場合

まずは、海外赴任でうつ病にかかった場合のメンタル不調のリスクについてです。厚労省の調査では、うつ病を発症の場合、会社を休む期間で約90日、通常の業務がこなせるまでパフォーマンスが回復するまでの期間を合わせると約350日近くかかるという結果になっており、風邪やがんや骨折などと比べて、うつ病などメンタル不調問題は何倍も復帰に時間がかかるのがわかります。

海外駐在員 メンタルヘルスケア
在留邦人のメンタル不調問題とその対策

海外赴任者がうつ病などメンタル不調問題で勤務できなくなることは相当なリスクであるのがわかります。

また、うつ病は再発率も高く、一度かかると長期的なメンタル不調のケアが必要になる可能性が高くなっています。

■海外赴任者のうつ病などメンタル不調、健康管理に会社側の責任は?

民法上の取扱いでは、海外赴任者のメンタル不調対策など健康管理については、派遣元企業に安全配慮義務(民法 415 条)があります。従って、会社がとるべき安全配慮義務を欠いたと認められれば、海外赴任者の派遣元企業が債務不履行責任を負います。また、不法行為に基づく責任(民法 709 条)が認められる場合もあります。海外赴任者が自殺をした最悪のケースの場合、会社が訴えられるリスクがあるとも言えます。


■海外赴任者のうつ病等メンタル不調、医療相談の事例

ここで、弊社サービスにて、海外赴任者へ専門医によるメンタル不調の医療相談を行った事例をご紹介いたします。

北米在住の50代女性。
初めての海外赴任にて、慣れない業務や生活からストレスがかかり、不眠症や食欲低下、集中力低下などメンタル不調。今後のメンタル不調対策について専門医の意見を聞くべく医療相談。

専門医が医療相談で回答。
 現在の症状についてのヒアリングを経て、今後は会社に相談、医療機関受診や業務負担の軽減、必要に応じ帰国などによりメンタル不調の改善を図るのを推奨。

日本人の専門医が実際に症状を聞いて今後の提案をすることで、不安の軽減や原因の追求・改善につながり、大事に至る前にメンタル不調問題について会社と連携、最善策に繋げました。


■海外赴任でのメンタル不調問題の原因

海外赴任でのうつ病など主なメンタル不調問題の原因は、日本人社会での人間関係、担当業務の多さ、言葉や文化の違い、現地社員との関係、帯同家族に関することなどが考えられます。
海外赴任時は、言語や文化、生活習慣、コミュニケーションなどさまざまな原因でストレスを溜めやすく、発散しにくい環境、うつ病などメンタル不調に発展しやすい環境であることが考えられます。

■メンタル不調対策に関わる厚労省の指針「4つのケア」

では、どのようにうつ病などメンタル不調問題の予防、対策をするのがいいのでしょうか。
会社視点のメンタル不調の対策にはなりますが、厚労省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」では、以下のように「4つのケア」をうつ病などメンタル不調の対策に推奨しています。

1、セルフケア 自身でのメンタル不調ケア

ストレスやメンタル不調に対する正しい理解、気づき、対処

2、ラインケア 部下のメンタル不調に上司も関与したケア

職場環境等の把握と改善、従業員からの相談、職場復帰における支援

3、産業保健スタッフなどによるケア 関連スタッフも関与したメンタル不調ケア

メンタル不調のセルフケアおよびラインケアが効果的に実施されるよう、従業員および管理職を支援、メンタル不調のケア実施企画立案、ネットワークの形成やその窓口
など

4、事業場外資源(組織外資源)によるケア 外部サービスなどを活用したメンタル不調ケア

情報提供や助言を受けるなど外部サービスの活用、ネットワークの形成など

参考:厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針

大事に至る前にうつ病などメンタル不調問題の早期発見・治療につながる環境をあらかじめ整えておくのが重要になります。

その他、うつ病等のメンタル不調に関する記事

海外赴任・従業員の健康診断、メンタル不調等の健康管理について

企業・職場のストレスチェック メンタル不調は回復まで300日以上?

「4つのケア」とは?企業・職場のメンタルヘルス対策 ~厚労省指針~

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【本記事の監修・丹羽崇(医師)】

神奈川県立循環器呼吸器病センターおよび倉敷中央病院にて臨床研究管理者・呼吸器インターベンション 指導医を兼務。総合内科・呼吸器・気管支鏡の専門医・指導医など。国内外学会での活動実績や受賞歴を複数有。

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10,000件以上の相談実績有。精神科・心療内科(メンタル不調対策)含む全ての診療科33科に対応、500人以上の日本人専門医の体制で運営するオンライン診療・医療相談サービスです。
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法人(海外赴任者)うつ病などメンタル不調対策などの利用について

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編集者プロフィール

小原万美子
小原万美子
人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。