HSPはうつ病になりやすい?自分・友人・パートナーのために知っておきたいこと

HSPとうつの違いとは?

あなた自身、または周りの大切な人が、「人と会うと疲れる」「音や人混みに敏感」「落ち込みやすい」「共感しすぎてつらくなる」と日常の中で生きづらさを抱えていることはないでしょうか。ストレスが続くと、うつ病かもしれないと不安になることもあるかもしれません。これは、HSP(Highly Sensitive Person)という気質によるものである可能性があります。本記事では、HSPとうつの違いや見分け方から、HSPの人がうつ病を予防するために気をつけること、HSPの傾向がある友人・パートナーへの接し方をまとめます。

HSPとうつの違いとは?

HSPとは?感受性が高い人の特徴

HSPとは「Highly Sensitive Person(非常に敏感な人)」の略称で、1990年代にアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によって提唱されました。生まれつき感受性が高く、五感への刺激や感情に強く反応しやすい気質を持つ人のことを指します。HSPの主な特徴には以下のようなものがあります。

  • 他人の感情に敏感で影響を受けやすい
  • 大きな音や強い光など、刺激に疲れやすい
  • 疲れやすく、一人の時間が必要
  • 深く考え込みやすい
  • 慎重で失敗を恐れる傾向がある

これはあくまで“気質”のひとつであり、病気ではありません。人口の約15~20%がHSPに該当すると言われています。

うつ病とは?主な症状と診断基準

うつ病は精神疾患のひとつで、以下のような症状が2週間以上続くと診断の対象となります。

  • 強い抑うつ気分(気分の落ち込み)
  • 意欲の低下
  • 興味や喜びの喪失
  • 睡眠障害
  • 食欲の変化
  • 疲労感
  • 自責の念や無価値感

この症状を放っておくと日常生活や仕事に大きな支障が出るため、早めに対処をすることが大切です。

HSPとうつ病の共通点と違いに注意

HSPは「気質」であり、うつ病は「精神疾患」という違いがあります。HSPとうつには「疲れやすい」「落ち込みやすい」「感情に敏感」という共通点があります。しかし、HSPの人が感じているのは“外部刺激に対する反応”であり、持続的な抑うつ感や無価値感といったうつ病の症状とは異なります。

HSPとうつの違い

HSPの人がうつになりやすい要因は?

HSPの人がうつ病になる要因には以下が挙げられます。

  • 無理して他人に合わせすぎる
  • 感情を抑え込んでしまう
  • 周囲から「考えすぎ」「流されすぎ」と否定される経験が多い
  • 限界まで我慢してしまう

これらの背景が重なると、自己肯定感が下がり、うつ症状に進行することがあります。

うつ病の見分け方

以下のような状態が続いている場合は、HSPの傾向だけでなく、うつ病の可能性も視野に入れて早めに対応することが必要です。

  • 長期間にわたって気分が沈んでいる、無気力感がある、やる気が出ない、活動が減っているなど、うつ病の症状が現れた場合。
  • 視覚・聴覚・嗅覚などの感覚異常や、不合理な恐怖、疑心暗鬼、妄想、幻覚などの症状が現れた場合。
  • 過剰な不安感や不安障害の症状が現れた場合。
  • 食欲不振や睡眠障害が続く、急激に体重が減る、自分が悪いことをしていると思い込むなど、摂食障害の症状が現れた場合。
  • 薬物やアルコールの乱用や依存症の症状が現れた場合。
  • 怒りっぽくなったり、感情の起伏が激しい、周りとの関係性に問題があるなど、パーソナリティ障害の症状が現れた場合。

自分では判断が難しいときは、心療内科や精神科など専門機関に相談することが推奨されます。心の不調は身体の不調と同じように、早期にケアすることで回復が早まります。

(参照:【医師監修】うつ病かも?精神科の専門医とは?心療内科との違いは?専門医ができること

落ち込む人

【自分がHSPかも?と思ったら】HSPとうまく付き合うためにできること

HSPは気質であり、無理に変えるものではありません。大切なのは「自分を守る環境」をつくることです。

  • 環境を整える:
    照明・音・人間関係など、刺激の多い環境から離れる時間を積極的に取るようにし、心地よく過ごせる空間を意識しましょう。落ち着ける香りや照明、音楽に出会うこともおすすめです。
  • 感情を言語化する:
    感情をためこむと、心に負担がかかります。日記を書いたり、信頼できる人に話すなどして、気持ちを整理する時間をつくりましょう。
  • 一人の時間を大切に:
    一人になることで情報や感情をリセットできます。予定を詰め込みすぎず、休息を最優先にする習慣を持ちましょう。

【周囲の人がHSPやうつ病かも?と思ったら】接し方のヒント

もしあなたの身近な人が「疲れやすい」「落ち込みやすい」など、HSPやうつの傾向を感じた場合、以下のような接し方を意識してみてください。

  • 否定せず、話を“聞く”:
    「考えすぎだよ」「そんなの気にしないで」といった言葉は避け、相手の感情に寄り添って「つらかったね」「わかるよ」と共感する姿勢を大切にしましょう。
  • 無理に励まさない:
    「頑張って!」「気分転換すれば治るよ」といった励ましが逆効果になることもあります。無理をせず、今のままの相手を認めることが大切です。
  • うつ病が疑われる場合は、優しく専門機関を勧める:
    「病院に行ったほうがいいよ」と言うのではなく、「身体の風邪と同じように、まずは診てもらうのもいいかもね」と伝えることで、相手のハードルが下がります。必要であれば、一緒に調べるのもよいでしょう。専門機関を受診することで、適切な対応を知ることができます。

まとめ

HSPとうつ病は違うものですが、深く関係しています。HSPの人はつい自分を責めがちで、気づかないうちに心が疲弊してしまうこともあります。しかし、HSPは「共感力が高い」「思慮深い」「感性が豊か」といった強みを持つ気質でもあります。大切なのは、「変わろうとすること」ではなく、「ありのままを受け入れて、自分を守れる環境を整える」ことです。自分や周りの人の心にそっと寄り添いながら、うつ病のリスクがある場合は早めに対応するようにしましょう。

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編集者プロフィール

小原万美子
小原万美子
人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。
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