うつ病、メンタル不調の多い国は?ストレスに繋がる要因は?職場のメンタルヘルスケアの必要性

近年、働き方の多様化や労働人口の推移、社会的な不安定要素の影響を受け、世界中でメンタルヘルスへの関心が高まっています。特に「心の健康」は、個人の生活の質だけでなく、企業や組織全体の生産性にも深く関わっている重要なテーマです。では、実際にどの国でメンタル不調が多く、そこにはどのような背景があるのでしょうか。本記事では、最新の統計や国際的な調査データをもとに、メンタルヘルスにまつわる傾向や働く環境との関係を紹介します。
※本記事の最終更新日 2024年3月
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Contents
国や性別・年齢別の、メンタル不調・うつ病の自己認知と原因
メンタル「不調」「やや不調」多いのはイギリス、イタリア、日本
アクサ・ライフケア株式会社が2023年に実施した調査によると、世界16の国と地域で「心の状態」について4つの選択肢(「良好」「まあまあ良好」「やや不調」「不調」)でアンケートを行った結果、以下の傾向が見られました。
「やや不調」「不調」と回答した割合が最も高かったのはイギリスで47%。次いで、イタリアと日本がともに45%と続きました。そのほか、トルコ(44%)、香港・ドイツ・アイルランド(いずれも43%)、アメリカ(42%)も高い割合を示しています。
一方、「良好」「まあまあ良好」と答えた人の割合が高かったのは、タイ(73%)、フランス(69%)、メキシコ(67%)、スイス(66%)、中国(64%)でした。

日本人は「自分はうつ病だ」と認識する人が少ない
日本人は比較的メンタル面で不調を感じやすいことがわかりましたが、興味深いのは、ストレスやうつ病、不安障害など、精神病への自覚は薄いということです。つまり、意識的に職場や家族などの身の回りの人間、環境の配慮がなければ、訴えることなく精神的な負荷を抱えたままになることが推測されます。

「若年層」「女性」がメンタル不調になりやすい
次に、上記の16カ国への調査において、年齢や性別ごとのメンタルヘルスの状態について分析が行われました。まず年齢別に見ると、若い世代ほど「メンタルが良好」と答えた人の割合が低く、逆にストレスやうつ病、不安障害を感じている人の割合が高い傾向が見られました。

また性別では、すべての年代において女性の方が「メンタルが良好」と答えた割合が男性よりも低く、ストレスや精神的な不調を感じている人が多いことがわかりました。

メンタルの不調は何が原因となりえるのでしょうか。若年層(18~24歳)では、ソーシャルメディアやテクノロジーにおける影響が大きいと考えられ、60%以上の人が、孤独や将来への不安、ネガティブなボディイメージを持っていることがわかります。TikTokやInstagramなど、良い情報も悪い情報も「目立つ」コンテンツが目に入るSNSの影響ではないかと考えられます。

また、女性の場合、ジェンダーの違いによる、家庭での責任や孤独、ネガティブなボディイメージを感じていることがわかります。

また、全ての国で、女性の方が、物価の上昇/生活費の高騰が精神的にネガティブな影響を与えると回答しています。
生活や女性としてのキャリアについて、サポート・配慮が必要だと考えられます。

プライベートの充実を図ることも重要なメンタルケアのひとつ
仕事においてストレスを感じるのはどんな時か
国際比較調査グループISSPの仕事と生活に関する調査で、労働時間が比較的長い日本とアメリカ、比較的短いドイツとノルウェーで、仕事に関するストレス要因がどう違うのか、比較がされています。
以下表では、数値が大きい項目が表示されており、数値が大きくなるほどストレスに影響してい流ことがわかります。
勤務時間の短いドイツとノルウェーでは、「仕事が家庭生活の妨げになること」が最もストレスへの影響が強いことがわかりました。それ以外の項目の数値に突出した傾向がなく、いかにプライベートの時間が大切であるかがわかります。
勤務時間の長い日本やアメリカでは、労働時間へのストレスが大きいことがわかります。加えて、「職場の人間関係が悪いこと」や、「仕事の自律性(自分で仕事ができること)」も大きなストレスの要因となっており、労働に対して、やりがいや楽しさ、プライベートの充実などの対価を求めているのではないかと考えられます。また、肉体的なストレスがあることで、精神的なストレスにも敏感になっているとも捉えることができます。

また、日本人で特徴的なこととしては、女性は「配偶者の有無」の影響が大きいことが挙げられます。日本人男性では、選択項目の違いにおいてある特徴が出ると説明されています。
職場環境やワークライフバランスと、ストレスの関係は?
同調査では、日本人を対象に、回答者が選択できる項目の数を変え、選択肢の数に応じて回答に変化があるのかについても分析されています。モデル1から5に進むにつれ、仕事のやりがいや、ワークライフバランスに関する項目が増えていきます。
比較的数値が高くストレスに影響を与えているのは「1週間の労働時間」ですが、「仕事がおもしろくないこと」の項目が増えると、労働時間に対する数値が下がります。つまり、仕事の楽しさを重視している人が一定存在することがわかります。特に、この傾向は女性に強く現れています。
また、「職場の人間関係が悪いこと」の項目が増えるモデル4では、この項目が最も数値が高くなります。それほど、人間関係が与えるストレスへの影響は大きいことがわかります。
最後にワークライフバランスに関する項目が登場するモデル5では、1週間の労働時間に対する数値が大きく下がりました。つまり、家庭生活とのバランスが取れていることで、絶対的な労働量へのストレスは減少することがわかります。また、女性は項目が増えるごとに「配偶者の有無」の数値が上がる傾向にあり、プライベートの充実度を重視する傾向にあることがわかります。

安定・安心して働ける前提の環境があったうえで、自律して仕事ができる、仕事のやりがいを感じられる自己効力感の醸成も大事ではないかと考えられます。
職場におけるメンタルヘルスのサポートの必要性
近年、職場のメンタルヘルスケアの必要性が高まっています。2023年の16カ国の調査では、心の状態が「良好」と答えた人の割合は、職場のメンタルヘルスに関するサポート体制が充実していると答えた人の割合と相関関係にあるという結果になっています。

また、日本は、職場におけるメンタルヘルスに関するサポートが充実していると答えた人の割合が最も低くなっています。

メンタルヘルスケアの重要性を示唆する証拠として、心の状態と職場の定着率には関連性があるということもわかっています。

おわりに
世界情勢の不安定な状況が続く中で、世界的にメンタルヘルスケアの必要性が益々高まっています。自分の精神面について訴える人が少ない傾向にある日本人に対しては、より一層、本音や精神状態をキャッチできる環境や、プライベートとのバランスが取れる環境を整えることが大切です。
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編集者プロフィール

- 人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。
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