インド渡航時に推奨されるワクチン(予防接種)
※本記事の最終更新日 2024年4月
インドへの赴任・渡航時に検討が推奨されるワクチン・予防接種についてまとめております。
※他のWebサイト等の情報を参照、一般的な情報提供での掲載です。
Contents
■(成人)インド入国の際に必要な予防接種・ワクチン
インド入国の際に全員の接種が必要な予防接種・ワクチンはありませんが、黄熱流行国からインドに入国する際は、黄熱の国際予防接種証明書が必要です。
インドでかかりやすい感染症の対策に、破傷風ワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチン、狂犬病ワクチンの接種が推奨となっています。インドは狂犬病の患者が世界で最も多い国ですので気をつけましょう。
(1)A型肝炎とは?予防接種・ワクチンについて
- 感染経路
糞便のウイルスが人手を介し、水や氷、野菜や果物、魚介類を経て口に入ることで感染。過去には、貝類による集団感染も起こります。性行為も原因となります。
- 症状
ウイルスに感染後、2から7週間の潜伏期間の後に、急な発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気や嘔吐が、数日後には黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)が出現。
成人は小児よりも所見や症状が出やすく、高齢者では重症度と死亡率が高くなります。ただ、日本では60歳以上の人の多くが免疫抗体を持っています。
症状の発現前と症状の消失後にも数週間ウイルスを排泄します。
- 予防接種・ワクチンについて
日本では、ワクチンは2から4週間の間隔で2回接種。約半年後に3回目の接種をすると免疫が強くなり、5年間は有効とされています。国と製剤によって接種方法が異なるため、現地医師の指示に従うことが大切です。
(2)B型肝炎とは?
- 感染経路
性行為やウイルス汚染の医療器具使用により感染します。患者から生まれた新生児は出産時点で感染している場合も。
- 症状
感染後90から150日の症状のない期間があった後、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)がおこります。大人での死亡率は1%くらいですが、一部の人で慢性化、肝硬変になったり、癌化する場合もあるので注意が必要です。
(3)破傷風とは?予防接種・ワクチンについて
破傷風は、破傷風菌がうつることによってかかり、口や手足の痺れがおこる病気です。治療が遅くなると死亡することがあります。
- 感染経路
けがなど負傷時に傷口から破傷風菌が体の中に入ります。破傷風菌は、世界中の土のなかに存在。特に、動物の糞便汚染の土壌が危険です。
- 症状
感染後3日から3週間の症状のない期間を経て、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状が出現。その後、体の痺れや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡する可能性も潜んでいます。
- ワクチンについて
適切な方法でワクチン接種を行うと、免疫が10年間持続。旅行中のケガ等負傷時にも破傷風ワクチンが必要になることもあるので、早めの医師への相談が大切です。
(4)日本脳炎とは?予防接種・ワクチンについて
アジアで広く流行する感染症。毎年、3万5000から5万人の患者が発生、死亡が1万から1万5000人という推定になっています。
- 感染経路
日本脳炎ウイルスはブタの体内で増殖、蚊によってブタからブタにウイルスが伝播。一方ヒトは、ブタから感染した蚊に刺されてうつります(ブタ→蚊→ヒト)。ヒトからヒトへの直接感染は起こりません。インドの宿泊施設は高級ホテルを除き空調設備は整っておらず、住宅の隙間から蚊が入り込みます。虫よけ対策は必須です。
- 症状
ウイルスを保有する蚊に刺されても多くの人は症状が出ません。感染者のうち、100人から1,000人に1人の割合で発病するといわれています。通常6から16日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔気、嘔吐が出現。次いで、意識障害、痙攣、異常行動、筋肉の硬直などが出現。重症例のうち50%が死亡するといわれ、生存者の30から50%に精神障害や運動障害などの後遺症が残るといわれています。
- ワクチンについて
ワクチンの有効期間は3から4年で、この期間の経過後に、流行地域(特に農村部)に長期間渡航する場合は、追加で1回接種、以後3から4年ごとに接種することが勧められます。
(5)狂犬病とは?予防接種・ワクチンについて
狂犬病は世界中で年間数万人が死亡する人獣共通感染症です。発症するとほぼ100%死亡します。狂犬病はほとんど全ての哺乳動物から感染する可能性があります。感染症法では4類に分類されています。
- 感染経路
ウイルスは感染動物の唾液に含まれます。哺乳動物に咬まれたり、傷口、目や口の粘膜をなめられたりすることで神経系の細胞に感染します。動物は前足をなめるので、ウイルスの付いたツメで引っかかれても感染する可能性があります。
- 症状
ウイルスが直接中枢神経を侵した場合、10日目あたりから、発熱、頭痛、全身倦怠や嘔吐などを起こします。一方、末梢の神経線維に感染した場合には、ウイルスは非常にゆっくりと脳へ向かうので、発症まで一般的に1カ月~3カ月程度の期間を要します。極めてまれに発症までに数年の年月を要することもあります。発症後は、ものを飲み込みづらくなり、液体を飲もうとすると筋肉がけいれんするため、水を恐れるようになります(恐水症)。また、風をおそれるようになる恐風症状も特徴的です。やがて昏睡状態となり、呼吸が麻痺し死亡します。
- ワクチンについて
日本では4回から6回ワクチンを接種します。6回接種する場合は0日、3日、7日、14日、30日、90日の6回接種します。地域によってワクチンの種類、接種方法、接種回数が異なりますので、海外ではワクチンの種類と接種方法の情報を聞いておくことが重要です。ワクチンの種類と回数によっては、最初から接種し直すこともあります。
(参照:厚生労働省検疫所 破傷風、 A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、狂犬病)
■(子ども)インド滞在、入学の際に必要なワクチン、定期予防接種
日本で定期予防接種になっているワクチン接種に加え、インドではA型肝炎ワクチン、腸チフスワクチン(2歳以上)、狂犬病ワクチンの接種が推奨となります。
インド現地校入学時に必要なワクチンは特にありません。
インドの小児ワクチン定期予防接種
インド | 初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 |
BCG | 出生直後 | ||||
ポリオ(経口) | 出生直後 | 6週 | 10週 | 14週 | 15から18ヶ月 |
DPT | 6週 | 10週 | 14週 | 15から18ヶ月 | |
麻疹 | 9ヶ月 | ||||
MMR | 15から18ヶ月 | ||||
B型肝炎 | 出生直後 | 6週 | 6ヶ月 | ||
腸チフス | 2歳 | ||||
インフルエンザ菌b型 | 6週 | 10週 | 14週 | 15から18ヶ月 |
■インドの医療事情や他国ワクチン・予防接種について
インドの医療事情については以下記事参照。
【インド医療事情】駐在員増加予定が世界2位 インドの医療事情は?
インドに滞在する場合に必要なビザ情報はこちら
【インド ビザの種類】オンラインで申請できるe-visaなど※2024年4月更新
その他のまとめはこちら(他国のワクチン・予防接種の必要性についてもまとめております)
■日本人専門医によるオンライン診療・医療相談サービスで適切な受診行動を
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編集者プロフィール
- 人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。
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