インド渡航時に推奨のワクチン(予防接種)・注意すべき病気

※本記事の最終更新日 2023年11月
インドへの赴任・渡航時に検討が推奨のワクチン・予防接種、駐在中に気を付けたい感染症・病気についてまとめております。
※他のWebサイト等の情報を参照、一般的な情報提供での掲載です。
Contents
■インド渡航時、気をつけたい病気は?
インドは感染症の宝庫と言われ、様々な感染症が存在します。食中毒をはじめ、腸チフス、パラチフス、細菌性赤痢、アメーバ赤痢、コレラ、A型肝炎、E型肝炎などは都市部でもかかります。
また、インドは全土で水事情が悪く、高級レストランでも不衛生の場合があります。インドでよく飲まれる乳酸品飲料のラッシーは水や氷を加えているので気をつけましょう。
インドで気をつけたい病気は、マラリアやデング熱、チクングニア熱、日本脳炎などです。詳細は、厚生労働省「インド 気候と気をつけたい病気、受けておきたい予防接種、持っていきたい薬」をご確認下さい。
■(成人)インド入国の際に必要な予防接種・ワクチン
インド入国の際に全員の接種が必要な予防接種・ワクチンはありませんが、黄熱流行国からインドに入国する際は、黄熱の国際予防接種証明書が必要です。
インドでかかりやすい感染症の対策に、破傷風ワクチン、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、日本脳炎ワクチン、腸チフスワクチン、狂犬病ワクチンの接種が推奨となっています。インドは狂犬病の患者が世界で最も多い国ですので気をつけましょう。
(1)A型肝炎とは?予防接種・ワクチンについて
- 感染経路
糞便のウイルスが人手を介し、水や氷、野菜や果物、魚介類を経て口に入ることで感染。過去には、貝類による集団感染も起こります。性行為も原因となります。
- 症状
ウイルスに感染後、2~7週間の潜伏期間の後に、急な発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気や嘔吐が、数日後には黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)が出現。
成人は小児よりも所見や症状が出やすく、高齢者では重症度と死亡率が高くなります。ただ、日本では60歳以上の人の多くが免疫抗体を持っています。
症状の発現前と症状の消失後にも数週間ウイルスを排泄します。
- 予防接種・ワクチンについて
日本では、ワクチンは2~4週間の間隔で2回接種。約半年後に3回目の接種をすると免疫が強くなり、5年間は有効とされています。国と製剤によって接種方法が異なるため、現地医師の指示に従うことが大切です。
(2)B型肝炎とは?
- 感染経路
性行為やウイルス汚染の医療器具使用により感染します。患者から生まれた新生児は出産時点で感染している場合も。
- 症状
感染後90~150日の症状のない期間があった後、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)がおこります。大人での死亡率は1%くらいですが、一部の人で慢性化、肝硬変になったり、癌化する場合もあるので注意が必要です。
(3)破傷風とは?予防接種・ワクチンについて
破傷風は、破傷風菌がうつることによってかかり、口や手足の痺れがおこる病気です。治療が遅くなると死亡することがあります。
- 感染経路
けがなど負傷時に傷口から破傷風菌が体の中に入ります。破傷風菌は、世界中の土のなかに存在。特に、動物の糞便汚染の土壌が危険です。
- 症状
感染後3日から3週間の症状のない期間を経て、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状が出現。その後、体の痺れや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡する可能性も潜んでいます。
- ワクチンについて
適切な方法でワクチン接種を行うと、免疫が10年間持続。旅行中のケガ等負傷時にも破傷風ワクチンが必要になることもあるので、早めの医師への相談が大切です。
(4)日本脳炎とは?予防接種・ワクチンについて
アジアで広く流行する感染症。毎年、3万5000~5万人の患者が発生、死亡が1万~1万5000人という推定になっています。
- 感染経路
日本脳炎ウイルスはブタの体内で増殖、蚊によってブタからブタにウイルスが伝播。一方ヒトは、ブタから感染した蚊に刺されてうつります(ブタ→蚊→ヒト)。ヒトからヒトへの直接感染は起こりません。インドの宿泊施設は高級ホテルを除き空調設備は整っておらず、住宅の隙間から蚊が入り込みます。虫よけ対策は必須です。
- 症状
ウイルスを保有する蚊に刺されても多くの人は症状が出ません。感染者のうち、100人から1,000人に1人の割合で発病するといわれています。通常6~16日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔気、嘔吐が出現。次いで、意識障害、痙攣、異常行動、筋肉の硬直などが出現。重症例のうち50%が死亡するといわれ、生存者の30~50%に精神障害や運動障害などの後遺症が残るといわれています。
- ワクチンについて
ワクチンの有効期間は3~4年で、この期間の経過後に、流行地域(特に農村部)に長期間渡航する場合は、追加で1回接種、以後3~4年ごとに接種することが勧められます。
(5)腸チフスとは?予防接種・ワクチンについて
腸チフスは、サルモネラ属のチフス菌による感染症です。口から移る病気です。
- 感染経路
感染したヒトの便や尿に汚染の水、氷、食べものを取ることによって移ります。ごく少量の菌によって感染することもあります。
- 症状
感染後1~3週間は症状がなく、その後、高熱、頭痛、全身のだるさ、高熱時に数時間出る胸や背中、腹の淡いピンク色の発疹、便秘などの症状が出現。熱が高い割に脈が遅いのが特徴的です。重大な症状では、腸からの出血や腸に穴が開いたりすることがあります。
- ワクチンについて
腸チフスに有効なワクチンについては、日本で製造販売承認を受けたものはありません。一部の医療機関では海外から輸入のワクチン(国内未承認ワクチン)接種が行われています。
(参照:厚生労働省検疫所 破傷風、 A型肝炎、B型肝炎、日本脳炎、腸チフス)
■(子ども)インド滞在、入学の際に必要なワクチン、定期予防接種
日本で定期予防接種になっているワクチン接種に加え、インドではA型肝炎ワクチン、腸チフスワクチン(2歳以上)、狂犬病ワクチンの接種が推奨となります。
インド現地校入学時に必要なワクチンは特にありません。
インドの小児ワクチン定期予防接種
初回 | 2回目 | 3回目 | 4回目 | 5回目 | |
BCG | 出生直後 | ||||
ポリオ(経口) | 出生直後 | 6週 | 10週 | 14週 | 15~18ヶ月 |
DPT | 6週 | 10週 | 14週 | 15~18ヶ月 | |
麻疹 | 9ヶ月 | ||||
MMR | 15~18ヶ月 | ||||
B型肝炎 | 出生直後 | 6週 | 6ヶ月 | ||
腸チフス | 2歳 | ||||
インフルエンザ菌b型 | 6週 | 10週 | 14週 | 15~18ヶ月 |
■インドで感染症・病気になったら
インドの医療事情については以下記事参照。
【インド医療事情】駐在員増加予定が世界2位 インドの医療事情は?
その他の注目記事のまとめはこちら(他国のワクチンの必要性についてもまとめております)

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弊社は33科500人以上の専門医の体制で、海外展開企業(主に海外駐在員)向けのオンライン診療・医療相談サービスを運営。
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編集者プロフィール

- 大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社に入社し広報と新卒採用担当を兼任。マーケティング、SNS/HP運用、グラフィックデザイン、イベント企画、採用等に関わる。現在は並行して弊社Medifellowの広報担当や、他企業の事業立ち上げ、広報、採用コンサルティング、グラフィックデザイン等を行う。
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