メキシコ駐在中にコロナ発症、自宅療養中に悪化して緊急搬送、2週間入院も。メキシコ駐在員インタビュー
現地での食事、医療、文化など生活に関するリアルな事情、課題、生の声を連載する
シリーズ「海外駐在員の声」。今回は、メキシコ駐在から2年が経つ、タイヤ原材料メーカーの設備部長の方にお話を伺いました。
【凡例】
●:インタビュアー 小原万美子
■:メキシコ駐在中のタイヤ原材料メーカーの設備部長
※記事内に記載のある内容はあくまで取材の中で個人の見解を伺ったもので推奨等を行う趣旨ではありません。正確な情報は関連する企業・法人・団体等へお問合せ下さい。
Contents
●:今回のメキシコ駐在に至った経緯を教えてください。
■:海外経験は、2008年の工場の立ち上げ時から毎年、2週間位の滞在で出張には行っており、いつかは長期的に行くようになるかなと思ってた中で今回、3年間のメキシコ駐在の話がありました。
アジア地区の他の工場に駐在する可能性もありましたが、個人的には英語の勉強もしたかったので、メキシコで良かったと思う部分もありました。現地人は基本スペイン語ですが、英語でなんとかコミュニケーションが取れます。
●:メキシコ駐在にあたってご家族の反対はありましたか?
■:妻の反対は特になく、寧ろ、メキシコに一緒に行けるのを期待してましたが、幼い息子がおり、住むところの周辺に学校がなく、また、治安が悪く外を出歩けないため断念となりました。
昨年家族が1ヶ月間メキシコに遊びにきてくれて、息子はずっと海に行きたがってましたが、
なかなか外を出歩けず、家にあるプールで遊んでました。
●:メキシコの職場や住んでる周辺の環境はどうですか?
■:首都メキシコシティから飛行機で1時間、そこから車で1時間位のところに住んでます。
田舎なので、道路には鹿や兎、リスなど色々な動物がおり、池にはワニがいると聞きます。
休みの日は空港周辺にあるスーパーへ買物に行きます。
タイにも支社があるのですが、タイと比べて、こちらでは車が使えるので便利です。
寧ろ、人が乗る電車はなく、交通手段はバスか車のみです。
ただ、治安が悪く、出歩けないです。
住んでる住宅街は壁で囲まれておりセキュリティが確保されてるので安心して住めます。
●:メキシコはどこもセキュリティ万全な家なのですか?
■:いえ。私が住んでる場所はゴルフ場があるような高級住宅街で、家賃はかなり高いです。また、住む時にメイドを雇うのが条件で、3日に1回メイドが掃除や洗濯等の家事にきてくれて助かっています。
メキシコも、給与所得や生活スタイルの格差は大きいと思います。
●:メキシコで日本人に会いますか?
■:私の住んでるところでは会いません。
一緒にメキシコ駐在中の日本人は3人おりますが、それ以外は見ません。
周辺に中国や韓国資本の工場があるので、韓国や中国から来ている人は見たことがあります。
●:メキシコでも日本食は食べれますか?
■:豊富ではないですが、スーパーにはアジアコーナーのようなところがあり、日本食も売ってます。ただ、とても高く、豆腐は1パック500円位です。
醤油も1,000円位です。アメリカ産だと思いますが、日本の米もあります。
驚いたのが手巻き寿司です。美味しくないです。具がキウイとかフルーツになっている場合もあります。
日本食は健康的なイメージがあるようで、メキシコ人が日本食を買ってるところも見るので人気はありそうです。
多くはないですが、日本食レストランもあります。刺身や天ぷらもあります。
ただ、私自身は現地に慣れろの思考なので、あまり日本食にはこだわってません。
●:メキシコの食生活はどうですか?
■:皆さんが予想する通りタコスがメインです。なので割とカロリーが高く、さらに、タコスにコーラが基本セットです。メキシコの人はみんなコーラを片手に持ってます。朝からコーヒーでなくコーラのような感じです。現地の人はコーラが大好きのようです。また、メキシコのコーラは、トウモロコシから作られた工業的な砂糖ではなくサトウキビから作られた砂糖なんだよと教えてもらいました。
●:体型維持が大変そうに感じます。
■:基本的に肥満体型の方が多く、コロナウイルスが流行った時は、メタボの人はハイリスクと言われてたので、BMIが一定数値以上の人は出社するなとなりました。
●:メキシコ駐在中に新型コロナには感染しましたか?
■:2021年の8月にかかり、一時は命の危険性を感じました。
熱が出て、当初は血中酸素濃度が基準値以下でなければ入院はさせてくれないので、
自宅療養をしてました。自宅療養時は、産業医に相談、薬をとにかく色々試し、産業医推奨の薬を6種類位飲んでましたが、38度、39度の熱が下がらず、次第にごはんが食べれなくなったため、会社に伝えると、看護師を雇ってくれて24時間診てもらえました。
そのうちに血中酸素濃度が基準値を下回り、病院に救急車で搬送されて入院となりました。
自宅から救急車で30~40分位の、現地の人は行かないと思われるハイグレードの私立病院に入院、そこで酸素マスクと点滴をしました。家族にも大きな心配をかけました。
●:医師と言語は通じたのですか?
■:医師は日本語が話せずスペイン語で、入院中は産業医が病院に入れないため、電話でやりとりし、医師から産業医、通訳を介して私に情報が届く形でした。
そこで表現の差やタイムラグが発生し、医師からの情報が日本語で自分の耳に届くまで半日位かかりました。
●:大変だった様子が伝わります。
■:ただ、看護師の雇用や入院処置など会社がサポートしてくれたのでなんとか助かりました。
ちゃんとサポートしてくれるんだと思いました。
●:保険には入ってましたか?
■:いえ。弊社の駐在員は誰も保険に入ってないので全額会社負担です。
●:メキシコの医療費は高いですか?
■:メキシコの医療費は高いです。
会社負担ですが、コロナの件で数百万円だったはずです。
●:普段の病院への通院などはどのようにされてるのですか?
■:普段は産業医の人に体調を伝えると、産業医が車に乗せて病院に連れてってくれます。そこで、電話で通訳を挟んで診療を受けてます。
軽い症状であればそんなに不便はないです。産業医に言うと薬を出してくれるので楽です。
●:メキシコ駐在中、助かってるなと感じるサポートや福利厚生はありますか?
■:やはり本社と労働組合が共同で行ってくれてる通販は助かってます。
メキシコは飲料がどれも甘いので、麦茶をよく買ってます。
あとは健康診断です。一時帰国は14日間で、昨年までは日本で2週間の隔離があるため日本では健康診断を受けられず、メキシコで受ける運びとなり、結果を産業医が通訳を挟んで説明してくれます。
ただ、気になってるのは、胃カメラやバリウムなどの特定健診がない点です。
BMIの基準も日本と異なるようで、日本では肥満に入ったのに、メキシコでは問題ないと判断されます。
●:他にメキシコでの仕事や生活で日本と違いを感じてる点はありますか?
■:現在、メキシコ工場では約140人で日本人は3人のみ。多くはメキシコ人なのですが、メキシコの方々は陽気です。時間は線引きが明確で、残業せずに帰ります。
文化や気質は南米系だと思います。職場で笑い声もよくあがってます。
あとは、物価が高いです。物価がアメリカと連動して上昇傾向にあり、人件費も物価に連動しているイメージです。
●:お話を色々と伺い、かなり日本と環境の差があると感じました。駐在員には適性があると思われますか?
■:あると思います。頭が硬い人は向いてないと考えます。
寛容で、臨機応変な人が向いてると思います。あとは、気分転換の仕方を見つけるのも大事です。私はドライブに行きます。他のメンバーは家でお酒を飲んだり、旅行に行ったりしてます。
●:残りのメキシコ駐在期間で、何かやってみたいことはありますか?
■:まだ一回もメキシコ旅行に行ってないので、テオティワカン遺跡などに観光に行きたいです。メキシコの観光地は点在しているので行くのも大変そうではあります。
また、スペイン語の勉強も難しいですが息抜きになってるので、引き続き頑張ります。
●:残りの期間に素敵な経験や思い出をたくさん残されるのを願っております。貴重なお話をたくさん聞かせて頂き、誠にありがとうございました。
編集者(小原)コメント:日本と比べてメキシコは治安や、物価、食など文化や環境の違いが大きい中で、駐在員の方の適性や企業会社のサポートもあり日常生活では大きくは困らないのだと感じました。ただ、改めてリアルなお話を通して、医療面での万が一の際の対応や予防策の重要性をひしと感じました。
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編集者プロフィール
- 人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。
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