医療費削減の取り組み 日本の医療費約42兆円、20年前の43%増
本記事では、医療費の推移や内訳、医療費削減の取り組みをまとめています。
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■日本の医療費の推移や内訳
厚生労働省の「令和2(2020)年度 国民医療費の概況」によると令和2年度の日本の医療費は、42兆9,665億円となっており、10年前との比較で約15%増、20年前との比較で約43%増となっています。以下のグラフからも長期にわたり増大傾向であるため医療費削減の取り組みの重要性が分かります。なお、同概況より、医療費を年齢階級別にみると65歳以上が26兆4,315億円で全体の61.5%、45~64歳が9兆4,165億円で全体の21.9%と、45歳以上の医療費で全体の83.4%を占めています。
中医協資料「薬剤費等の年次推移について」によると、平成5年に比べると比率が低下しているものの、令和元年の医療費に対する薬剤費の比率は21.6%となっており、医療費削減の取り組みの中でも重要性高いと考えられる項目となっています。
また、「特定健診/特定保健指導とは?死因の5割は生活習慣病?」の以下記載にあるように、生活習慣病関連の医療費は、医療費全体の3割程度を占めており、こちらもまた医療費削減の取り組みの中でも重要性高いと考えられる項目となっています。
生活習慣病関連の医療費の国民医療費に占める割合は3割程度と大きく、また、メタボリックシンドロームの方の年間平均医療費はそうでない方と比べて約9万円高いと言う統計も以前ありました。従って、この対策(特定健診や特定保健指導)は医療費適正化の観点からも重要です。(参考:厚生労働省「医療費等と疾病の関係をみる」)
「特定健診/特定保健指導とは?死因の5割は生活習慣病?」
日本医師会「日本の医療保険制度の優れた特徴」にもあるように日本の医療システムは、国民皆保険で自己負担が低く、医療へフリーアクセスと言う点が優れていますが、一方で、医療費の増大に伴い現行の医療システムを支えきれなくなってしまうと、他国のように医療へのアクセスが制限された形や自己負担額が上がってしまうなど、医療システムの移行や変更を余儀なくされなくなってしまう可能性も中長期的にはあり、医療費削減の取り組みの重要性は高いものと考えられます。
参考:「アメリカ医療費等まとめ-アメリカ医療費なぜ高い?日本と比較して何倍?-」「カナダ医療費は日本の何倍?医療費や医療保険など医療事情まとめ」「オーストラリア医療費は日本の何倍? – オーストラリアの医療費・医療制度等 –」
■医療費削減の取り組み
一般的に言われている点ですが以下が医療費削減に寄与する取り組みと考えらます。
保険者や事業者、従業員など各々が気を付けていくべき医療費削減の取り組みと考えらえます。
①はしご受診について
セカンドオピニオンとしての受診なのか、同じ病気で複数の病院にかかる方もいるようです。各々の病院で一から検査などを行い重複した処方をもらう可能性もあり、医療費の増につながってしまいます。
②診療時間内での受診
自己判断が難しいケースもありますが、急病ではなさそうなのに、時間外や深夜、休日などに受診をすると割り増しでの医療費がかかります。また、救急医療の負担増につながる可能性もあります。
③健康診断の受診と結果への対策、行動変容
健康診断をしっかりと受けるのは大事ですが、さらに受けた結果を踏まえて、生活習慣などの改善を図るのも重要です。医療費の3割が生活習慣病関連の病気であり、病気になる前に早めに生活改善を行うと、医療費削減の取り組みになり、また、本人のQOL向上にもつながります。
④医薬品の適正な服用
処方された医薬品を自己の判断で服用中止や飲み忘れなどがあると病気の回復にも影響してきてしまう可能性があります。その他、医師や薬剤師から指摘されている注意点なども守り、適切に服用するのが、病気の早期回復や医薬品費削減の取り組みにつながります。
⑤後発医薬品(ジェネリック医薬品)の使用
新薬の特許が切れた後に販売される新薬と同じ成分や効能・効果と認められて販売されるのが後発医薬品です。新薬と比べると、医薬品によっては5割以上安くなる場合もあり、医療費削減の取り組みにつながります。
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編集者プロフィール
- 岐阜薬科大学薬学部卒、薬学士。医療機関の経営コンサルティングを経験。大学病院や自治体病院、公的病院の経営改善に従事。その後、HR業界で採用支援コンサルティングを経験。海外駐在員や日本人現地採用、外国人の転職などクロスボーダーの転職・就職支援に従事。
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