海外駐在・赴任時の医療保険や年金は?
平均寿命世界1位(出典:WHO 世界保健統計2022年版)の高齢化先進国である日本。
比較的安く、質の良い医療を早期に受けられる環境であるとも言われています。
弊社Webサイトにてアメリカ・カナダを例にご紹介したように、海外では医療費が高くなるケースが多く、海外駐在員や駐在員の同伴家族として長期滞在する場合は、医療費や治療費、入院費がかさんだり、手術が必要になるような大きな病気にかかるリスクも高いため、医療保険に加入することを検討する方が多いのではないでしょうか。
本記事では、海外に駐在・赴任、長期滞在する場合に考えられる、医療保険や年金についてまとめております。
Contents
■国内健康保険、厚生年金
日本で勤務している会社で健康保険・厚生年金保険に加入している場合、海外でかかった医療費にも保険が適用されます。
健康保険と厚生年金保険は,一般的に民間企業に勤務する方を対象とするもので,事業所を単位として適用することになります。
出向等により海外に居住している方も,適用事業所と使用関係があれば被保険者となります。
外務省「海外在住者と日本の医療保険,年金」
ただ、日本の会社の健康保険・厚生年金の補助を受ける際には注意点もあります。
・海外でかかった医療費を一旦全額負担する必要がある。
※支払い後に加入している健康保険組合等に請求手続をすると,健康保険組合等が負担する分の医療費が戻ってくるしくみ
・請求手続には、療養に要した費用の額がわかる書類(診療報酬明細書や領収明細書等、いずれも日本語翻訳文を添付)が必要なため、現地病院とやりとりする手間や、日本語翻訳の手間が必要になる。
・日本国内で同じ保険診療を受けた場合の金額に換算されて計算されるため、戻ってくる額が低く自己負担が多くなってしまうことが多い。
例:虫垂炎(盲腸)の場合、アメリカでは約300万円(2日入院)かかるとされているが、
日本では約60万円程度のため、3割負担だとしても約42万円しか戻ってこない。
このため、医療水準・医療費が低い国や、海外旅行保険や現地の医療保険の補償の対象外となった部分を補完する二次的な保険として利用される傾向があります。
■国民健康保険
この制度は,農業者や自営業者,民間企業を退職した方等が加入するもので,各市町村がその市町村に住所を有する方(健康保険組合等に加入する方を除く)を加入対象として運営しています。
国民健康保険加入者が海外に短期渡航した際の海外療養費支給制度がありますので,各市町村の保険担当課にお問い合せ下さい。
外務省「海外在住者と日本の医療保険,年金」
しくみとしては上記健康保険と同じですが、海外で医療費を支払ってから2年以内と保険請求できる期間が決まっていたり、日本で診療を受けた場合の金額と比較して安価な方を基準として保険計算されたりなど、条件が各市町村によって異なることがあります。こちらも、保険支給額が大幅に低く、自己負担が大きくなる可能性があります。
■国民年金
国民年金は,日本国内に住所がある20歳以上60歳未満の全ての方が加入する年金制度です。
外務省「海外在住者と日本の医療保険,年金」
海外在住時にも任意加入したうえで保険料を納めていれば、死亡したときや病気やけがで障害が残ったときに遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます。
万が一の備えとして併用するケースが多いと考えられます。
※海外において就労する方は,原則としてその国の年金制度等に加入することになりますが,日本との社会保障協定が締結されている国(ドイツ,英国,韓国,アメリカ,ベルギー,フランス,カナダ,オーストラリア,オランダ,チェコ,スペイン,アイルランド,ブラジル,スイス,ハンガリー,インド,ルクセンブルク,フィリピン)においては,日本からの派遣による一時的な就労(原則5年)の場合,日本の年金制度のみに加入することになり,その国の年金制度等への加入が免除されます。
外務省「海外在住者と日本の医療保険,年金」
■海外旅行保険、海外駐在員保険
元々は海外旅行者の現地での事故や病気、ケガをカバーするために開発された保険ですが、
長期滞在者のために保険特約を設け、保険の補償期間を長くし損害賠償など補償内容も充実させた形で、今ではほぼ全ての保険会社が駐在員向けの保険を販売しています。
基本的には以下の補償内容が保険にあります。
・病気やケガ(交通事故など)をされたとき
外務省海外安全ホームページ「海外旅行保険加入のおすすめ」
診療費、入院費、緊急移送費など
治療に必要な交通費や通訳雇入費用など
入院後、通常の旅程に復帰するため、帰国するための交通費
救援者(家族等)の渡航、宿泊費用
・盗難や偶然の事故により携行品が損害を受けたとき
各保険会社の定める範囲内での金銭補償
・旅行中にあやまって他人にケガをさせたとき(他人のモノを壊したとき)
法律上の賠償責任を負った場合、その損害賠償金
(賠償責任保険金額を限度)
ただし、
・海外に永住する場合や帰国予定がない場合、持病がある場合は保険加入できない
・怪我などが本人の重大な過失によるものは保険の適用外となる(麻薬の使用など)
・妊娠・出産・早産・流産に起因する疾病、歯科疾病などは保険で保障されない
・初診日を含め180日を越えた費用は保険適用にならない
など、事前に確認しておくべき保険の内容もあります。
■現地医療保険
アメリカのように、公的な医療保険制度がなく民間の保険会社が販売する医療保険に加入する国や、
デンマークやスウェーデンのように、一定の条件を満たせば外国人であっても公的医療保険への加入が可能で、無料で受診ができるようになる国など、国によって保険制度が大きく異なります。
ただ、社会保障、保険が手厚い欧州の国では、自己負担の医療費を抑えることはできても、その分受診者が多く予約がかなり取りづらくなる傾向にあります。
■海外駐在・赴任時の保険、年金のまとめ
海外駐在員など長期滞在をする場合は、期間や現地保険制度に合わせて国内外の保険に加入することで、医療費やもしもの時の金銭的リスクを保険で抑えることができます。
ただし、希望の診療が予定通りに受けられるかや、医療の質を担保できるものではなく、
そもそもの医療費・保険料も高くなってきている傾向を考えると、迅速に適切な医療相談を受けることができる環境も保険と並行して準備しておくことも大切だと考えられます。
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弊社は33科500人以上の専門医の体制で、海外展開企業(主に海外駐在員)向けのオンライン診療・医療相談、メンタルヘルスサービスDoctorfellowを運営、厚労省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に準拠、「オンライン受診勧奨」サービスを提供、必要に応じて、現地病院受診時の紹介状作成等も行っております。また、厚労省の実施する「オンライン診療研修」を修了の専門医が対応に当たっています。病院の受診前後に活用、不安解消はもとより、医療の内容や医療費適正化、生産性向上に寄与します。健康経営、福利厚生、感染症BCPの対策に導入をご検討下さい。
編集者プロフィール
- 人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。
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