フランスの医療費 ~医療費、医療水準ともに高いフランス~
※最終更新日:2023年12月
本記事では、フランスの医療費や、その支払い方、病院の受診方法など、医療事情をまとめます。
フランスではかかりつけ医制度が導入されており、医療保険の被保険者はかかりつけ医の登録、受診が必要となっています。(3ヶ月以上フランスに滞在する駐在員、留学生が健康保険に加入した場合も同じ)
Contents
■日本より高い、フランス一人当たりの医療費
2023年のOECD調査によると、フランスの一人当たりの医療費は日本より高く6,630ドルになっています。
■フランスの医療費
フランスでは、診察料、検査代、薬代など医療費は非常に高くなる可能性があります。
医療費は原則として自己負担となります。
(引用:外務省 世界の医療事情 フランス)
フランス(パリ)の医療費(円) | 日本の医療費(円) | |
救急車の料金 | 公営:5,900~7,300+走行加算200円/Km 民営:5,900~7,300+走行加算200円/Km | 公営:無料 民営:通常利用しない |
初診料 | 11,500~17,200 | 2,820 |
入院費 (1日当たり) | 個室:126,100 ICU:286,700 | 個室:30,000~100,000 ICU:80,000~100,000 |
虫垂炎手術(盲腸)の治療費・医療費 | 総費用:1,089,200 平均入院日数:3日 | 総費用:600,000 平均入院日数:4日 |
骨折時の治療費・医療費 (橈骨末端閉鎖性骨折) | 40,100円~45,900 | 20,000 |
■フランスで救急医療にかかった場合の医療費
事例 | 治療・救援費用保険金支払額・医療費(円) |
発熱、発汗の症状で受診。敗血症と診断され25日間入院後、医師が付き添い帰国。 | 16,280,014 |
ホテル内で足を滑らせ転倒し、腰椎を骨折。6日間入院後、医師付き添いで帰国。 | 8,153,612 |
嘔吐・腹痛を訴え受診。腹膜炎と診断され7日間入院・手術。家族が駆けつける。 | 4,500,357 |
嘔吐が続き受診。腸閉塞と診断され44日間入院・手術。家族が駆けつける。医師が付き添い医療搬送。 | 15,472,344 |
セーヌ川観光をしている際に脈が乱れ受診。静脈炎と診断され10日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。 | 10,939,562 |
高熱と発疹を訴え受診。マクロファージ活性化症候群と診断され12日間入院。家族が駆けつける。 | 5,494,702 |
吐き気・下痢を訴え受診。脳梗塞と診断され15日間入院。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。 | 5,730,000 |
到着後から目の痛みが始まり、翌日目が開けられない状態になり救急車で搬送。角膜潰瘍と診断され10日間入院。看護師が付き添い医療搬送。 | 3,510,000 |
ホテル玄関の階段が雨で濡れており滑って転倒し救急車で搬送。胸椎骨折と診断され20日間入院・手術。家族が駆けつける。医師が付き添い医療搬送。 | 6,760,000 |
■フランスの医療保険(駐在員は加入できる?)
フランスでは、国民皆保険を目指し、複数の医療保険制度で国民の99%をカバーしています。加入しなければならない医療保険は職域ごとに異なっているのも特徴で、民間企業の被雇用者を対象とする被用者制度、自営業者等を対象とする非被用者制度などがあります。国民の8割が、被用者制度の中の一般制度に加入しています。
・駐在員が加入する公的医療保険
この中に当てはまらないフランス人や3ヶ月以上フランスに滞在する駐在員や留学生は、CMU(Couverture maladie universelle)という普遍的医療給付制度の対象となり、公的医療保険に加入することができます。
・医療費自己負担の割合の違い
フランスで公的保険に加入している場合の保険適用の割合も、上記の制度の種類や病気の種類によって異なってきます。被用者制度(一般制度)の場合、保険適用となるのは、入院医療費は 80%、開業医による一般的な医療行為の医療費は 70%、一般の薬剤費は 65%、胃薬など医学的な貢献度が低いとみなされる薬剤費は 35%で、これ以外の部分が患者の自己負担となります。
・医療費の支払いについて
フランスの医療費支払いについては、入院時など例外はあるものの基本的には病院で一旦全額自己負担となり、後に還付される仕組みとなっているので注意が必要です。
(参照:厚生労働省 各国にみる社会保障施策の概要と最近の動向(フランス)、損保ジャパン総研クォータリー フランスにおける民間医療保険の動向)
■フランスの医療事情(フランスの医療水準・病床数・病院の受診方法)
フランスの医療水準は、日本や他の欧州地域と比べても劣らず、世界でもトップレベルだと言われています。
人口1,000人あたりの病床数においては、日本が13.0(2018年)なのに対しフランスが5.9(2018年)と半数以下で日本には劣るものの、アメリカが2.9(2019年)、イギリスが2.5(2019年)ではあるので、医療体制は比較的良いと考えられます。
(参照:日本医師会 病床数の国際比較)
また、病院の受診方法や救急車の利用には日本と異なる点も多く、特徴を理解しておく必要があります。
例えば、直ちに治療が必要な場合は、フランスでは重症度によらず、また昼夜の別なく救急外来を受診して相談します。他方、緊急でない通常の診察は事前に予約が必要です。クリニックや個人開業医では血液検査やレントゲン検査等の諸検査を外部の検査機関に委託していることがほとんどです。この場合、医師より指示された検査を受けるためには各検査機関に別途予約が必要となります。
(引用:外務省 世界の医療事情 フランス)
薬が処方された場合は処方箋を持って薬局で購入します(日本の院外薬局と同様ですが、薬局が病院に隣接しているとは限りません。ただし都市部であれば薬局はそこここに存在していますので探すのに苦労することはありません)。
フランスは医療水準は比較的高いですが、医療費は日本よりも高くなると考えられます。
また、病院受診の方法も異なります。医療費の支払いについても、公的医療保険に入る場合でも日本の健康保険の適用を受ける場合でも基本的にはまずは病院で全額自己負担となりますので、注意をしておくことが大切です。
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編集者プロフィール
- 人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。
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