タイ・ラヨーン駐在2年目。メーカー工場長のタイ 医療/生活事情
現地での食事、医療、文化など生活に関するリアルな事情、課題、生の声を連載するシリーズ「海外駐在員の声」。今回は、2004年にタイのラヨーンにて現地工場を立ち上げてから15年後、駐在員として再派遣となり現在2年目になる、タイヤの原材料メーカーのタイ工場長にお話を伺いました。
【凡例】
●:インタビュアー小原万美子
■:タイヤ原材料メーカーのタイ工場長
※記事内に記載のある内容はあくまで取材の中で個人の見解を伺ったものであり弊社として推奨等を行う趣旨ではありません。正確な情報については関連する企業・法人・団体等へお問合せ下さい。
Contents
●タイ・ラヨーンでの駐在の話を受けた時はどう思いましたか?
■:ついに来たかと思いました。2004年にタイ・ラヨーンで工場を立ち上げ、その後2008年にメキシコでも工場を立ち上げた経験があったのでもう海外駐在はないかと思っておりました。ただ、家族の反対もなく、子どもも手を離れていたので、不安なく駐在することができました。
●:家族の理解あってのことだと思うので、応援してもらえるのは本当にありがたいことですね。
タイ・ラヨーンでの立ち上げの際は半年ずつの長期出張だったとのことですが、やはり駐在となると異なりましたか?
■:全然違いましたね。指示をする立場と、完全に中でやっていくのとでは。ただ、仕事は理解はしていますし、長く勤務していてある程度日本語のわかるタイ従業員や通訳もいるので、タイ語が正確に分からずとも通じるのでやっていけました。
●タイでの生活面で困ったことはありましたか?
■:それが、タイは便利になりすぎてると思うくらいですね。日本人がタイで2番目に多く住んでいるシラチャーに住んでいるので、日本語が通じるお店も多いですし、家の近くにはイオンもあり、日本の食材も比較的簡単に手に入ります。日本食もまだ美味しいです。ただ、日本食材はタイで買うと日本で買う3~4倍の値段にはなります。スーパーでブドウを見たら、日本円で一房3,000~4,000円で驚きましたね。
●:そうなんですね。どこに住むかも重要そうですね。交通の便はどうですか?
■:タイは車、バイク文化なので、車かバイクがあればなんとかなるかと思います。
ただ交通ルール・規制があってないようなものなので、会社の規定もあって日本人駐在員は車やバイクを自分で運転することはできません。ノーヘルだったり、何人もバイクに乗っていたり、事故で道路に倒れている人も見ます。(救急車が車来るまでそのまま放置されています。)
会社でドライバーを雇っているので、土曜日は乗せてもらってバンコクに買い物に行きます。
●2年前からタイ・ラヨーンに駐在となると、ちょうどコロナの時期かと思いますが、大丈夫だったのでしょうか?
■:タイは日本よりも厳重な体制でした。国の政策で夜の21時〜昼まで外出禁止というのもありました。県境を越えるのも許可書がないといけなくて、毎日持ち歩いていました。
タイは濃厚接触者の定義が厳しく、周辺にいた人全員が濃厚接触者になったので、隔離施設がすごいことになっていましたね。
何より、自宅隔離の時が一番大変でした。スーパーに行くこともできず、日本人駐在員の仲間に食材などを買ってきてもらったので助かりました。
●:タイでは医療崩壊などはなかったのでしょうか。
■:タイの病院によってはあったようですが、私たち日本人が通う病院は大丈夫でした。
●:工場長は新型コロナにはかかりましたか?
■:かかりました。新型コロナが落ち着き始めた時に油断して街に行ったらかかりました。無症状だったのですが、会社実施の抗原検査で陽性が発覚しました。
その際は病院で入院になり、することがなくて辛かったですね。
●タイの医療事情はどうでしょうか?
■:私が住むシラチャーでは問題はないですね。近所の病院では日本人受付があり、タブレットを渡されて通訳が診療時に通訳をしてくれます。
●:タイでも都心部では医療も発展しているんですね。社内に産業医の方はいらっしゃるのでしょうか?
■:タイの工場にはいないです。病院にも行きやすいですし、何かあった時には医療費を会社が負担してくれるので大きな問題は起こっていません。
●:弊社への医療相談でも心療内科・精神科の相談が多いのですが、メンタル面での問題が起こったことはありますか?
■:今のところないですね。もし精神面で何かあったら大変なんだと思います。本社から2人、弊社(グループ会社)からは2人日本人がタイに派遣されているのですが、普段は日本語を話す機会がないので、仲間の存在は本当に大きく、愚痴含め本音で話せる仲間がいることで助かっているなと思います。相性も大事だと思います。
●従業員はタイ人の方が大半とお聞きしましたが、国民性の違いなどは感じますか?
■:感じますが、基本的にはタイの人は親日なので接しやすく、フレンドリーな方が多いです。個人的な感覚としては、何十年前かの日本人というような感じです。仏教の文化なので、人に施しをすれば返ってくるという考えが根付いていて、家庭での教育がしっかりとしているのだと思います。
●:マネジメントも苦労はないですか?
■:それはもちろんあります。個人の意見ですが、タイは平和な国ではあるので、楽観的というか、現状を変えることが苦手で意外と頑固な人は多いです。筋道を立てて考えることは比較的苦手なのかもしれません。
●駐在員への福利厚生として、あってほしい、またはあってよかった制度やサービスはありますか?
■:やはり、自分で車やバイクを運転できたら一番いいだろうなとは思います。自由に動けるので。
休日にもドライバーに運転を頼むとなるとやはり申し訳なさはあります。
あってよかったサービスは通販ですね。会社と労働組合が共同で行っていて 、送料は会社が負担し、買い物の一定額までは組合が負担してくれるので、簡単な日用品はそこで手に入れられます。
私のいる環境は日本食材も手に入りやすく、医療も問題ないですが、そうでないところは大変だと思うので、フォローはより必要になってくると思います。
●駐在員としての海外生活を不便なく楽しんでいらっしゃるように感じますが、やはり駐在員にも適性があると感じますか?
■:あると思いますね。海外はお話ししたように日本と異なる部分も多いので、細かいひと(神経質な人)、真面目すぎる人は向いていないと思います。
また、仕事をしているときはなんとかなりますが、仕事終わりや、休みの日に日本のように自由に動けるわけではないので、その中でも趣味であったり、楽しみを見つけていける人でないと精神面に来てしまうかもしれません。
●:日本に帰るまでの期間で行きたいところややりたいことはありますか?
■:プライベートでは、一緒に来ている仲間と、アンコールワットに行きたいと話しています。隣の国で近いので。あとは趣味がゴルフなので、ゴルフに行きたいですね。タイにはゴルフ場がたくさんあり、社長と一緒に行ったりもしています。
仕事では、日本で取り組んで良かった事例をタイでもできるだけ取り入れて、仕組みを作って帰りたいですね。
●:タイでのリアルな駐在員事情についてお聞かせいただき大変勉強になりました。ありがとうございました。
取材担当者
小原万美子
株式会社Medifellow
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弊社は33科500人以上の専門医の体制で、海外展開企業(主に海外駐在員)向けのオンライン診療・医療相談サービスを運営、厚労省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に準拠、「オンライン受診勧奨」サービスを提供、必要に応じて、現地病院受診時の紹介状作成等も行っております。また、厚労省の実施する「オンライン診療研修」を修了の専門医が対応に当たっています。病院の受診前後に活用、不安解消はもとより、医療の内容や医療費削減、生産性向上に寄与します。健康経営、福利厚生、感染症BCP、医療費削減の対策に導入をご検討下さい。
編集者プロフィール
- 人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。
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