2026年度・介護テクノロジー導入支援事業の申請方法と注意点 | 失敗しない5つのステップ
最終更新:2026年4月
「補助金を使ってICTを導入したい。でも、何から始めればいいかわからない」そのような介護施設の施設長・管理者の方も多いのではないでしょうか。
2026年度(令和8年度)の介護テクノロジー導入支援事業は、補助率最大3/4・パッケージ型で最大1,000万円という過去最大規模の支援内容となっています。しかし、補助金には申請のタイミングや手順に厳格なルールがあり、知らずに動くと「せっかく機器を発注したのに補助対象外だった」という最悪のパターンに陥ることもあります。
本記事では、申請の全体像から具体的なステップ、よくある失敗パターンまでを整理します。
Contents
令和8年度・介護テクノロジー導入支援事業とは
介護テクノロジー導入支援事業は、介護ロボット・ICT・見守りシステムなどの導入費用を都道府県が補助する制度です。令和7年度からそれまで別々に実施されていた「介護ロボット導入支援事業」と「ICT導入支援事業」が一本化され、より柔軟に活用できるようになりました(※1)。
補助内容の概要
| 区分 | 補助率 | 上限額(目安) |
|---|---|---|
| 介護テクノロジー(単体導入) | 最大3/4 | 機器種別・職員数による |
| パッケージ型導入(複数機器の組み合わせ) | 最大3/4 | 最大1,000万円 |
| 要件を満たさない場合 | 1/2 | 同上 |
令和8年度の主な変更点
① パッケージ型導入の拡充
見守りセンサー+インカム+介護記録ソフトのように、複数のテクノロジーを組み合わせて導入する「パッケージ型導入」に対して、より高い補助額が設定されました。令和8年度は介護情報基盤(ケアプランデータ連携など)への対応も重視されており、システム間の連動性が採択のポイントになっています(※1)。
② 賃金還元と第三者支援が要件に
補助率3/4を受けるためには、職場環境の改善を通じて収支が改善した場合に職員賃金へ還元することを「導入効果報告」に明記することが求められます。また、外部専門家による業務改善支援(第三者支援)の活用が新たな要件として加わりました(※1)。
申請の前に必ず知っておくべき「原則」
手順の説明に入る前に、補助金申請において絶対に外してはならない原則をお伝えします。
- 交付決定が出るまで、機器の発注・購入は行わないこと。
これが最も多い失敗パターンです。「補助金を申請中だから先に機器を注文しておこう」「内示が出たから大丈夫だろう。」こうした判断が補助対象外になる最大の原因です。補助金の対象となるのは「交付決定を受けた後」に発注・購入した機器に限られます(※1)。
申請の準備(相見積もりの取得・製品選定)は交付決定前から行えますが、実際の発注は交付決定通知を受け取ってから行う必要があります。この順序を守ることが、補助金活用の重要事項になります。
申請の5ステップ
STEP 1 | 自施設の課題を数値で把握する
補助金申請書には「現状の課題」と「導入による改善見込み」を記載する必要があります。感覚的な記述ではなく、数値で示すことが採択率を高めます。
事前に確認・記録しておくべき指標は次のとおりです。
- 月平均残業時間(特に記録・申し送りにかかる時間)
- 直近1年間の離職率・離職者数
- 夜勤の一人対応時間帯の有無
- 現状の記録方法(手書き・PC・タブレットなど)
現場スタッフへのヒアリングを行い、「どの業務に時間がかかっているか」を具体的に把握しておくことが、申請書の説得力に直結します。さらにこのデータは、導入後の効果報告書にも必要になるため、今の段階から記録しておくことを推奨します。
STEP 2 | 公募情報を確認し、スケジュールを把握する
本事業は都道府県が実施主体です。補助金の申請先・申請窓口・スケジュールはすべて都道府県ごとに異なります(※1)。
令和8年度の全体的なスケジュール感(茨城県の公表情報を参考例として)は次のとおりです。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2026年4月〜 | 交付要項公表・公募開始(都道府県ごとに順次) |
| 〜6月末頃 | 事前協議・申請受付期間 |
| 8月末頃 | 内示 |
| 9月末頃 | 交付決定 |
| 令和9年1月末頃 | 実績報告 |
※上記は茨城県の公表スケジュール(令和8年4月時点)をもとにした参考例です。都道府県によって大きく異なります(※2)。
重要:セミナー受講が申請要件の自治体がある
大阪府など一部の自治体では、申請に先立ってセミナーの受講が必須要件となっています(※3)。セミナーを受講していないと申請できない場合があるため、今すぐ各都道府県のホームページを確認することが不可欠です。
また、応募が予算額を上回った場合は抽選や選考が行われ、不採択になるケースもあります。公募が始まったら速やかに動くことが採択率を高めます(※4)。
STEP 3 | 導入機器を選定し、複数社から見積もりを取得する
ほぼすべての自治体で、複数業者からの見積取得(相見積もり)が申請要件となっています(※4)。1社だけから見積もりを取るのではなく、最低でも2〜3社を比較することが必要です。公募開始と同時に動き始めないと、締め切りに間に合わないことがあります。
機器選定の際に確認すべきポイントは次のとおりです。
- 補助対象かどうか:本事業の補助対象となる機器・ソフトウェアであることを確認する
- 他システムとの連携性:令和8年度は介護情報基盤への対応が重視されており、既存システムや他機器との連動性が採択に影響する(※1)
- 現場での操作性:ツールは「入れること」ではなく「使い続けること」が目的。現場スタッフが実際に使いやすいかをデモで確認する
- サポート体制:導入後のトラブル時に対応できる窓口があるか
【導入成功のポイント:現場の納得感を大切に】
ツールは「入れること」ではなく「使い続けること」が目的です。選定段階から現場スタッフを巻き込み、デモ機に触れてもらうなどして「これなら使えそう」という合意を作っておくことが、導入後の定着を左右します。
STEP 4 | 申請書類を作成・提出する
各都道府県の公募要領に従って申請書類を作成します。一般的に必要となる書類は次のとおりです。
- 交付申請書
- 事業計画書(課題・導入目的・改善見込みを記載)
- 見積書(複数社分)
- 施設の運営状況に関する書類(直近の決算書等)
- 賃金への還元方針に関する書類(令和8年度からの新要件)
自治体によっては「Excel様式の指定」「PDF化不可」「不要シート削除」など細かいルールが設けられている場合があります(※4)。提出前に公募要領を精読し、形式上のミスで不採択にならないよう注意が必要です。
STEP 5 | 交付決定後に発注・導入し、効果報告を行う
交付決定通知を受け取ってから、機器の発注・購入・設置を行います。導入後は職員向けの研修・説明会を行い、ツールの定着を図ります。
翌年度の4月末頃までに実績報告(効果報告・精算内訳書)の提出が求められます(※4)。効果報告には、導入前後の業務時間の変化・残業削減の状況などを数値で示す必要があるため、STEP 1で把握した「導入前のデータ」が直接活きてきます。
【導入成功のポイント:定着までの丁寧なフォロー】
機器を入れることはゴールではなく、スタートです。導入直後は現場に戸惑いが生じるものですが、そこから数ヶ月間、使い方をサポートし、運用を見直していく丁寧なフォローが、テクノロジーを本当の意味で現場の味方にします。
よくある失敗パターン
補助金申請・ICT導入を進める中で「うまくいかなかった」という施設に共通するパターンがあります。事前に把握しておくことで、同じ失敗を避けることができます。
| パターン | 内容 |
|---|---|
| 交付決定前に発注 | 最多・最致命的。「内示が出たから」も対象外 |
| 公募確認が遅れた | 公募期間が数週間の自治体もある。気づいたら締め切り済みというケースが毎年発生 |
| 相見積もりが間に合わなかった | 申請書類の中で最も時間がかかる。公募開始と同時に動くことが必須 |
| 現場への説明なしに導入 | 使われないまま放置。導入前の合意形成が定着の鍵 |
| 導入前のデータを取っていなかった | 効果報告書に前後比較が必要。今から残業時間・離職率を記録しておく |
まとめ
- 補助率最大3/4・パッケージ型で最大1,000万円。令和8年度は過去最大規模の支援内容(※1)
- 交付決定前の発注はしない
- 公募は都道府県ごとに異なり、4月以降順次開始。今すぐ自県の情報を確認する
- セミナー受講が申請要件の自治体もある。早めの確認が採択率を左右する
- 導入後の運用設計と職員フォローが、補助金活用の成否を決める
- 補助金申請の間に、並行して利用できるサービスの利用も検討する
Medifellowが本記事を書く理由
補助金を活用した環境整備は、職員の皆様の「心のゆとり」を生むための第一歩です。
私たち株式会社Medifellowは、オンライン総合病院の体制で、33科・500名以上の医師によるオンライン医療相談を提供しています。365日いつでも相談でき、夜間の急変時の緊急性判断や受診判断のサポートを行います。
ICTの導入によって事務負担が軽減され、そこに私たちの「専門医への相談体制」が加わることで、職員の皆様がより安心してケアに集中できる環境を整えることが可能です。
関連記事:介護DX×補助金×離職防止の全体像 、オンライン診療とオンライン医療相談の違い・介護施設での活用法
また、介護関連のICT導入サポートも行っております。医療相談とICT導入、あわせてお気軽にご相談ください。
▼お問い合わせ・法人向けご相談はこちら
https://medifellow.jp/contact

出典・参考資料
(※1) 厚生労働省「介護テクノロジー導入支援事業(令和8年度)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/kaigo-ict.html
(※2) 茨城県「介護テクノロジー(介護ロボット・ICT)の導入支援事業について」(令和8年4月16日更新)https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/chofuku/shisetsu/kaigorobottodounyuusiennzigyou.html
(※3) 大阪府「令和8年度大阪府介護テクノロジー導入支援事業補助金」https://www.pref.osaka.lg.jp/o090100/koreishisetsu/kaigo_technology/tech.html
(※4) 介護ソフト トリケアトプス「令和8年度ICT補助金(介護テクノロジー導入支援事業)の概要や47都道府県の受付状況」(2026年4月17日更新)https://www.tricare.jp/knowledge/category3/category3_1/1726/
(※5) 厚生労働省「「オンライン診療の適切な実施に関する指針」の改訂について」
https://files.jvnf.or.jp/files/user/assets/news/2026/260402isei-tsuchi_shishin.pdf
⚫︎協業等のお問い合わせはこちら
編集者プロフィール

- 「一人ひとりの心と役割が輝く社会を創る」ことをミッションに、マーケティング、カスタマーサクセス(コミュニティ)、PRの一貫したコミュニケーション作りを担う。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にてProductPR、カスタマーサクセス、コミュニティ運営を担当。同時に、日本の誇れる医療と安心を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。広報、マーケティング、グラフィックデザインを行っている。


