ドイツ渡航時に推奨されるワクチン(予防接種)

ドイツ国旗

※本記事の最終更新日 2023年5月

ドイツへの赴任・渡航時に検討が推奨されるワクチン・予防接種、駐在中に気を付けたい感染症・病気についてまとめております。

※他のWebサイト等の情報を参照、一般的な情報提供としての掲載です。

■ドイツ渡航時、気をつけたい感染症・病気は?

ドイツ渡航時に気を付けたい感染症・病気としては、ダニ媒介性脳炎、ノロウイルス、麻しんなどが挙げられます。詳しくは、厚生労働省「ヨーロッパ北部・西部 気候と気をつけたい病気、受けておきたい予防接種、持っていきたい薬」をご確認下さい。

■(成人)ドイツ入国の際に必要/推奨されるワクチン

入国に際して必要とされるワクチンはありませんが、A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチン、破傷風ワクチンを接種しておくことが勧められています。風土病であるダニ媒介性脳炎ワクチンも、感染状況を確認した上で接種することも推奨されます。
(参照:外務省 世界の医療事情  ドイツ

(1)A型肝炎とは?

A型肝炎はA型肝炎ウイルスによる一過性の感染症です。

  • 感染経路

糞便から排泄されたウイルスが人の手を介して、水や氷、野菜や果物、魚介類を経て口に入ることで感染します。過去には、貝類による集団感染もありました。性交渉時に感染することもあります。

  • 症状

ウイルスに感染し、2~7週間の潜伏期間の後に、急な発熱、全身のだるさ、食欲不振、吐き気や嘔吐が見られ、数日後には黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)が現れます。

成人は小児よりも所見や症状が現れやすく、高齢者では重症度と死亡率が高くなります。ただし、日本では60歳以上の人の多くが免疫抗体を持っています。

感染した場合には、症状の発現前と症状の消失後にも、数週間はウイルスを排泄しますので、他人に感染させないように注意しましょう。

  • 予防接種について

日本では、ワクチンは2~4週間の間隔で2回接種します。約半年後に3回目の接種をすると免疫が強化され、5年間は有効といわれています。国と製剤によって接種方法が異なるため、海外では医師の指示に従ってください。

(2)B型肝炎とは?

B型肝炎は、B型肝炎ウイルスに感染することにより発症します。B型肝炎ウイルスは人から人へと感染します。

  • 感染経路

患者との性行為やウイルスに汚染された医療器具の使用により感染します。患者から生まれた新生児は生まれた時点で感染していることがあります。

  • 症状

感染して90~150日の症状のない期間があった後、倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐、腹痛、黄疸(皮膚や目の白い部分が黄色くなること)がおこります。皮膚発疹や関節の痛みが生じることがあります。大人での死亡率は1%くらいです。一部の人で慢性化し、肝硬変になったり、癌化することがあります。

(3)破傷風とは?

破傷風は、破傷風菌がうつることによってかかり、口や手足のしびれがおこる病気です。治療が遅れると死亡することがあります。

  • 感染経路

けがをしたときに傷口から破傷風菌が体の中に入ります。破傷風菌は、世界中の土のなかに存在します。特に、動物の糞便で汚染された土壌が危険です。

  • 症状

​​感染して3日から3週間からの症状のない期間があった後、口を開けにくい、首筋が張る、体が痛いなどの症状があらわれます。その後、体のしびれや痛みが体全体に広がり、全身を弓なりに反らせる姿勢や呼吸困難が現れたのちに死亡します。

  • 予防接種について

正しい方法で接種を行うと免疫が10年間持続します。旅行中にケガをしたときにも破傷風ワクチンが必要になることがありますので、早めに医師に相談して下さい。

(4)ダニ媒介性脳炎とは?

中枢神経系に影響するウイルス感染症であり、軽症例から、より重篤で生命を脅かす病態まで、広い範囲での症状を引き起こします。東部から中央ヨーロッパ、ロシア、中国北部までの広い地域で、およそ年間1万~1万5千例の感染があると推計されています。

  • 感染経路

ダニ媒介脳炎ウイルスをもつダニに咬まれることによりうつります。このウイルスに感染した動物(ヤギ等)から生産された乳製品からうつることもあります。人から人へは滅多にうつりませんが、まれに輸血や母乳からうつることがあります。

  • 症状

4~28日間の症状のない期間があった後、頭痛、筋肉痛、倦怠感や発熱が起こります。そのまま治る場合もありますが、悪化すると、脳に障害が出るようになり、呼吸ができなくなることがあります。重症型の場合には死亡することがあります。2/3くらいの人は何の症状もおこりません。

  • 予防接種について

合計3回(2回目:初回接種1-3ヶ月後、3回目:2回目接種9-12ヶ月後)の接種が必要ですが、日本国内では入手困難ですが、現地の医療機関で接種できます。3回接種が終われば、小児は3年間、成人は5年間有効とされています。

(参照:厚生労働省検疫所  A型肝炎B型肝炎破傷風ダニ媒介脳炎)

■(子ども)ドイツ滞在、入学の際に必要なワクチン、定期予防接種

できるだけ日本で定められた定期予防接種を受けておき、ドイツに到着後は、現地のワクチン接種計画に従って、予防接種を行うことが大切です。


また、子どもを現地の幼稚園、学校に入学させる場合、母子手帳や予防接種の記録(日本のものでもよい)持参することが必要です。
ドイツでは小児の麻疹の予防接種が義務化されていますので、通常、幼稚園や学校の入学に際して麻疹の予防接種の証明書を提出する必要があります。麻疹以外の基本予防接種は必ずしも義務ではありませんが、ほとんどの子どもがこの基本予防接種をカレンダー通りに受けています。また、幼稚園・学校によっては、麻疹以外の予防接種の証明書の提出を求められることもあります。

ドイツの小児定期予防接種

初回2回目3回目4回目5回目
ロタウイルスⅰ6週から2ヶ月3ヶ月(4ヶ月)  
DPT:破傷風、ジフテリア、百日咳の3種混合ⅱ2、3ヶ月4ヶ月(~10ヶ月)11ヶ月(~4歳)5~6歳(~8歳)9~16歳(~17歳)
B型肝炎ⅲ2、3ヶ月4ヶ月(~10ヶ月)11ヶ月(~17歳)  
ポリオ(IPV)ⅳ2、3カ月4ヶ月(~10カ月)11ヶ月(~17歳)9~16歳(~17歳) 
Hibⅴ2、3カ月4カ月(~10カ月)11カ月(~4歳)  
肺炎球菌2、3ヶ月4ヶ月(~10ヶ月)11ヶ月(~23ヶ月)  
髄膜炎菌C12ヶ月    
MMR:麻疹・おたふくかぜ・風疹の3種混合ⅵ11カ月(~24カ月)15カ月(~17歳)   
水痘ⅶ11カ月(~24カ月)15カ月(~17歳)   
HPV(ヒトパピローマウイルス)ⅷ9~14歳9~14歳 
(引用:外務省 世界の医療事情  ドイツ

■ドイツで感染症・病気になったら

ドイツの医療費については以下の記事をご参照ください。

ドイツ医療費・保険〜事業拡大予想欧州No.1、駐在/赴任者も増加予定〜

ドイツの日本語可の病院・クリニックまとめは以下をご参照下さい。

ドイツ(ベルリン・デュッセルドルフ・フランクフルト・ミュンヘン)の日本語可の病院・クリニック

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編集者プロフィール

小原万美子
小原万美子
人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食業界向けDX企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。