ドイツ医療費・保険〜事業拡大予想欧州No.1、駐在/赴任者も増加予定〜

ドイツ国旗

2022年JETRO調査では、欧州の日系企業の中で、今後1~2年の事業を「拡大」すると回答した企業数が最多だったドイツ。

駐在員の増加予想も、「増加」と答えた企業の割合が19.3%と、全世界でドイツは5位でした。
(出典:JETRO 海外進出日系企業実態調査2022 全世界編)
今回は、そんなドイツの医療水準・医療機関・医療費・医療保険など、医療事情をまとめます。

(出典:JETRO 2022年度 海外進出日系企業実態調査(欧州編)

■ドイツの医療水準

ドイツの医療水準は比較的高いとされております。
世界の五大医学誌の1つ、ランセットによる2018年の発表によれば、医療へのアクセスと質を評価する指標「ヘルスケア・アクセス・アンド・クオリティー・インデックス(HAQインデックス)」の世界195か国ランキング(2016年版)では、ドイツは18位ランクインしています(日本は12位)。

出典:Lancet Figure 3Performance on the HAQ Index and 32 individual causes, by country or territory, in 2016

また、OECD(経済協力開発機構)2021年の調査では、
ドイツの平均寿命は17位(日本:1位)医療への満足度が9位(日本:22位)となっています。
(出典:OECD 図表でみる医療 2021)

外務省HPでは、以下のようにドイツの医療事情に関する記載があります。

公立、私立を問わず、ドイツの医療水準は非常に高く、また緊急医療体制も整備されています。ただし、診察、入院費用はかなり高額ですので、必ず海外旅行保険 に加入してください。ドイツの医療制度は日本とは異なり、入院治療を行うのが病院(Krankenhaus又はKlinik)、通院・外来を扱うのが医院(Praxis)と二分されており、通常、病院にはいわゆる外来部門はありません。また、医薬分業が徹底されており、軽い風邪や頭痛などの病気を除き、医薬品は医師の処方箋を持参して薬局で購入するシステムとなっています。

(引用:外務省 世界の医療事情 ドイツ

■ドイツの医療制度・病院

ドイツでは、通院・外来と入院治療で扱う病院が分かれています。
家庭医(GP)が外来を受け付ける病院となっており、緊急の場合を除き、
病院の診療を受けるにはドイツでは開業医の紹介を受けなければならないとされています。
また、ドイツの開業医は定員制となっており、地域及び診療科ごとに上限が定められています。

■ドイツの医療保険

ドイツでは、基本的に医療費は医療保険で支払うことになっています。
現地の在住者が加入する医療保険には公的医療保険と、民間医療保険の2種類があります。

2009 年 1 月からは、ドイツに居住するもの全員が、公的医療保険または民間医療保険に加入することが義務付けられています。
(出典:健康保険組合連合会 公的医療保険における適用対象範囲に関する国際比較レポート

1)ドイツの公的医療保険

(出典:ニッセイ基礎研究所 ドイツの医療保険制度(1)、厚生労働省 ドイツ連邦共和国

「連邦保健省(BMG:Bundesministerium für Gesundheit)」のデータによれば、公的医療保険の被保険者総数は7,089万人となっており、全国民の約9割が加入する形になっています。

全ての国民に対して公的医療保険への加入が義務付けられているわけではありませんが、
社会保険法典によると、加入義務のある人は定まっています。

・所得が一定の基準所得(Jahresarbeitsentgeltgrenze)(2016年1月現在、年間56,250ユーロ)以下の被用者(ブルーカラー、ホワイトカラー)

・公的年金の年金受給者           ・失業手当受給者
・農業経営者及びその家族従事者       ・芸術家及び著述家
・学生 等

・ドイツの医療保険料

公的医療保険の保険料は、日本と同様に、基本的に賃金に定率で賦課されます。
被雇用者の場合、会社と被雇用者が折半で支払うことになります。

被雇用者が払う金額は、現在は給料の14,6%+追加保険料となっています。
(追加保険料は被雇用者のみ負担、金額は保険会社により異なるので、加入する前に確認が必要です。)

2)ドイツの民間医療保険

民間医療保険は、保険料が公的医療保険よりも高額なものから、一定収入以下の者のみが加入できるものがあります。
高額な民間医療保険ではより広範囲がカバーされたり、入院における部屋が大部屋から1~2人部屋になったり待ち時間が縮小されるなど、優遇されます。
ファーストクラスの民間医療保険を持つ人のみが通える病院クリニックもあり、その医療サービスも最高だと言われています。高収入の人がわざわざ民間医療保険に加入するのは、高い料金を支払って最高の医療サービスを受けるのが目的です。

加入条件は、被雇用者であれば一定額以上の給与がある者や、個人事業主や公務員などが加入することができます。

・ドイツの医療保険料

保険料は、2019年では平均値では、月額493ユーロとなっています。(約7万円)

(出典:ニッセイ基礎研究所 ドイツの民間医療保険及び民間医療保険会社の状況、ドイツニュースダイジェスト ドイツの疾病保険の特徴 

■ドイツ医療費は?ドイツ医療費のOECD加盟国内ランキング

2019年のドイツの一人当たり保健医療費は6,518ドルでOECD加盟国中4位となっております。日本の保健医療費は4,691ドルで15位です。

出典:日医総研ワーキングペーパー 医療関連データの国際比較
-OECD Health Statistics 2021 およびOECD レポートより-

■ドイツの医療費

まず、病院に行くと医療費の支払方法を尋ねられます。
ドイツに在住し現地の保険加入者はその旨を申告すると保険が適応になります。

公的医療保険に加入すれば、公立病院での医療費は全額保険負担となります。
初診料や医薬品、入院費は自己負担がありますが、上限が決まっています。
※参考:2023年3月19日現在、1ユーロ=142円

初診料入院費薬剤費
自己負担額上限10ユーロ上限10ユーロ(1日あたり。年間28日が上限)1割負担(下限5ユーロ、上限10ユーロ)
(出典:厚生労働省 ドイツの医療制度

民間保険は、加入条件によって待遇が異なります。

●ドイツの医療費(フランクフルト・ミュンヘン)と日本の医療費

※参照元データ掲載時2004年3月4日(1US$=111.18円)のレートを、
 2023年3月20日現在1US$=132円に変換しております。

都市名救急車料金入院保証金入院費(1日)盲腸手術総費用
(入院日数)
フランクフルト58,000円64,200円(個室)
51,100円(一般)
564,700円
(6日)
ミュンヘン74,400円~483,900円322,000円~
(5~6日)
日本無料30,000円〜
100,000円
600,000円
(4日)
(出典:ジェイアイ損害火災保険 こんなにかかる医療費用(ヨーロッパ・アフリカ地区

●ドイツの医療費事例 事故等の救急医療事例

ドイツでの事故の詳細海外旅行保険の支払保険金
発熱・腹痛の症状を訴え受診。憩室炎と診断され17日間入院・手術。家族が駆けつける。看護師が付き添い医療搬送。540万円
ホテルのバスルームで足を滑らせ転倒、頭と腰を強打し救急車で搬送。腰椎圧迫骨折と診断され15日間入院・手術。家族が駆けつける。351万円
朝食後に胸の痛みを訴え救急車で搬送。心筋梗塞と診断され5日間入院・手術。家族が駆けつける。医師が付き添い医療搬送。374万円
体調不良が続いた後に倒れ受診。脳腫瘍と診断され13日間入院。家族が駆けつける。医師・看護師が付き添い医療搬送。388万円
(参照:ソニー損保 海外旅行保険の事故事例

ドイツは、日本と比較すると大きな医療費の差は少ないものの、救急車を利用したり、救急医療が必要な病気や事故にかかった場合は医療費が高額になる可能性があります。

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編集者プロフィール

小原万美子
小原万美子
人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食業界向けDX企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。