ジェネリック(後発)医薬品の使用促進 医療費削減・適正化の取り組み
日本の医療費が中長期的に増加していく中で(参照:「医療費削減の取り組み 日本の医療費約42兆円、20年前の43%増」)、医療費削減・適正化の取り組みとして使用促進されてきたジェネリック(後発)医薬品。ジェネリック(後発)医薬品とは?やメリット・デメリット、その普及率の推移について、本記事ではまとめています。
Contents
■ジェネリック(後発)医薬品とは
病院やクリニックで医師から処方箋を発行されて処方される医薬品は、「医療用医薬品」と呼ばれています。「医療用医薬品」の中には、新しく開発・販売されている「先発医薬品」と先発医薬品の特許が切れた後に先発医薬品と同じ有効成分を含み製造・販売される「後発医薬品」(ジェネリック医薬品)があります。
以下に一般的に言われているメリット・デメリットを記載します。
ジェネリック(後発)医薬品のメリット 医療費削減・適正化効果
先発医薬品と比べてジェネリック(後発)医薬品は、5割程度、医薬品によってはそれ以上安価になります。参考:中医協資料「新規後発医薬品の薬価算定」
大幅な医療費削減・適正化効果が想定されることから、厚生労働省としても「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」を2013年に策定し、取り組みを促進してきました。
ジェネリック(後発)医薬品のデメリット
先発医薬品と同じ有効成分を含み製造・販売されるのがジェネリック(後発)医薬品ですが、有効成分が同じでも、添加物や製造工程が異なるため実際には十分な効果が得られないことや予期せぬ副作用がでることがあるのではと一般的には指摘されることもあります。政府広報オンライン「安心してご利用くださいジェネリック医薬品」の「3.効き目や安全性は大丈夫?」には以下の記載があります。
「安くて本当に効き目はあるのか」「安全性は大丈夫なのか」と心配する方もいるかもしれませんが、ジェネリック医薬品の開発にあたっては、医薬品メーカーにおいて様々な試験(※1)が行われており、それによって先発医薬品と効き目や安全性が同等であることが証明されたものだけが、厚生労働大臣によって承認されます。
政府広報オンライン「安心してご利用くださいジェネリック医薬品」
■ジェネリック(後発)医薬品の使用割合
ジェネリック(後発)医薬品の使用割合 推移
厚生労働省「後発医薬品の使用割合の目標と推移」によると以下のようなジェネリック(後発)医薬品割合の推移をしており、直近では、80%近くとなっています。
ジェネリック(後発)医薬品の使用割合 各国比較
厚生労働省「令和3年度 後発医薬品使用促進ロードマップに関する調査報告書 概要」によると、2021年時点のジェネリック(後発)医薬品の数量シェアは、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランスに次いだ値となっています。2015年~2021年の日本のジェネリック(後発)医薬品の使用割合増加が+16%と普及の伸びは7カ国中最も高いが、アメリカ(96%)との差が25%程度あり、一定取り組みの余地はあるものと考えられます。
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編集者プロフィール
- 岐阜薬科大学薬学部卒、薬学士。医療機関の経営コンサルティングを経験。大学病院や自治体病院、公的病院の経営改善に従事。その後、HR業界で採用支援コンサルティングを経験。海外駐在員や日本人現地採用、外国人の転職などクロスボーダーの転職・就職支援に従事。
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