【2022/2023年JETRO調査比較】海外進出企業の状況や今後は?業種は非製造業、国はインドで拡大傾向の結果に

海外進出企業の考察

コロナ禍の終息後、日系海外進出企業の状況はどのようになっているのでしょうか。JETROの2022年、2023年調査での結果を比較、日本企業の海外事業の予測、結果、今後の見込みを考察します。

※本記事の最終更新:2023年12月
※他のWebサイト等の情報を参照、一般的な情報提供での掲載です。

●海外進出、2023年の見込み、業種ごとの結果と今後の展望

海外進出・展開、2023年の”拡大”見込みは50%を下回っていた。

今後の海外進出の拡大意向

2022年の調査では、今後の海外進出の意向について、”拡大”と回答した企業が半数を下回っていました。海外拠点を持つ企業の拡大意向の減少傾向が特に強く、実際の経験則を持って厳しい予測をした企業が増えたことがわかります。


業種別では、海外拠点を持つ/持たない問わず拡大回答が50%を超えた業種は、「通信・情報・ソフトウェア」のみでした。逆に、最も意向が低かったのは、「金融・保険」でした。

(引用:JETRO 2022年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査

2023年黒字見込みは3年ぶりに減少、大企業と中小企業で回答に差が。

本年11月の調査によると、海外進出日系企業の2023年の営業利益見込みは、
黒字と答えた企業は63.4%と全体では前年より1.1%減少しました。ただし、黒字と回答した大企業が増え、赤字や均衡と回答した中小企業の割合が大きく減ったことがわかります。

海外進出日系企業の2023年の営業利益見込み

また、営業利益見込みが最も良い結果になったのは銀行(金融)で、2022年の消極的な意向とは反対の結果になったことがわかります。

上記図には記載はないものの、非製造業では「ホテル・旅行」で「改善」の割合が際立って高く、2023年は79.1%、2024年は81.4%が改善の見通しを立てています。
(引用:JETRO 2023年度 海外進出日系企業実態調査(全世界編)

今後の海外進出(事業展開)の展望は、非製造業で伸び、製造業は現状維持

2023年、黒字見込みの企業は減少したものの、全体としては、現地事業を「拡大」すると回答した企業は47.0%と前年より増えた形となりました。縮小、第3国への移転撤退の割合は低く、慎重にはなっているものの悲観的な結果ではないことがわかります。

今後1~2年の事業展開の方向性(事業別)

(引用:JETRO 2023年度 海外進出日系企業実態調査(全世界編)

●国・地域別で見る海外進出。予想に大きく反した結果で意向に変化。

2022年、期待はアメリカ、ベトナム、中国に

2022年の調査では、今後の事業の拡大先として米国が1位、ベトナムが2位、中国が3位となっていました。
理由としてはどちらも「市場規模・成長性」が米国91.5%、ベトナムが89.3%、中国が90.5%と一番に挙げられ、特にベトナムは「人件費の安さ」が38.0%とアメリカより26.2%、中国より20.8%高い回答となっていました。

今後の事業拡大先上位10ヵ国・地域(2022年調査)

(引用:JETRO 2022年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査

中東・アフリカが好調という結果に。中国は”悪化”が41%

2023年の主要国・地域別の​​2023年の営業利益見込みは、南アフリカが最も良い結果となり、中東・アフリカ地域の黒字回答が増加しました。
前年比の結果は、「改善」の回答はインドが1位(56.7%)となり、アメリカは39.2%、ベトナムは32.0%、特に中国は期待に大きく反し、悪化した企業が41.7%という結果になりました。

また、人件費で期待されていたベトナムは、「悪化」回答の理由の三番目に人件費の高騰が入りました。

主要国・地域の2023年の営業利益見込みと、前年比較

(引用:2023年度 海外進出日系企業実態調査(全世界編)

2024年以降の海外進出。市場の成長性に注目

その結果を受け、今後の海外進出について、事業展開を「拡大」すると答えたのはインドの割合が最も高く中国は初めて3割を切るという結果になりました。国によって回答の幅が大きいことがわかります。理由として、当該国や周囲の国の市場の成長性に大きく変化が起こったことがわかります。

今後1~2年の事業展開の方向性(2023年調査)

(参照:2023年度 海外進出日系企業実態調査(全世界編)

●考察

不安定な世界情勢のなかで、海外進出・事業展開の状況に変化が起こっていると考えられます。

特に近年は国・地域での変化が大きく、新興国への注目が高まっていると考えられます。

結果的に、上記ランキング上位国のインドやブラジル、南アフリカではメキシコでは賃金のベースアップが顕著に起こっている事例も有ります。

一方、北米や欧州では、日本と同様、人手不足の課題が大きくなってきています。

世界各国の人口動態を見ると、人的資源がビジネスにも影響しているのではないかと考えられます。

少子高齢化で先進国と言える日本。それは他国にとっての未来の姿であり、今後の動向を世界が注目しているかもしれません。

●海外駐在員の医療面の不安に。日本人専門医によるオンライン診療・医療相談サービスをご活用ください。

弊社は33科500人以上の専門医の体制で、海外進出企業・個人向けのオンライン診療・医療相談サービスを運営。

厚労省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」に準拠、「オンライン受診勧奨」サービスを提供、必要に応じて、現地病院受診時の紹介状作成等も行っております。また、厚労省の実施する「オンライン診療研修」を修了の専門医が対応に当たっています。

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編集者プロフィール

小原万美子
小原万美子
人と組織の可能性が最大化する環境を拡げることをミッションに広報・マーケティングを行う人間。大阪教育大学卒業。卒業後は教育事業会社で広報・採用広報を行い、その後飲食店向けFinTech&SaaS企業にて広報を担当。同時に、日本の誇れる医療を世界中に届けるビジョンに共感し、広報担当として株式会社Medifellowに参画。記事制作、マーケティング、SNS運用、グラフィックデザインを行っている。