総合商社・ドイツ駐在員 赴任早々にお子様が現地病院に緊急入院 米村祐介様の事例
現地での教育、医療、文化など生活に関する不安や課題、生の声を連載するシリーズ「海外駐在員・海外在住日本人の声」今回はドイツに駐在され、ドイツ駐在当初にお子様のドイツ病院への緊急入院を経験された米村祐介様にお話を伺いました。
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●現在、ドイツに駐在されていますが、過去に海外駐在や留学など海外生活の経験はありましたか?
小学生の時に3年間、アメリカのアリゾナ州に住んでいたことがありました。また、現職でも比較的海外出張に行く機会はあり、駐在先のドイツの都市も出張で訪れていたため、ある程度土地勘がある場所です。家内は海外留学も含め海外生活の経験はありませんでした。
●今回、ドイツ駐在するにあたり、不安なこと心配なことなどはありましたか?
妻、子供二人(赴任時は1歳と2歳の、男児2人)の家族帯同でのドイツ駐在ですが、自身よりも家族に何かあった時の医療ケアの心配や子供の教育の心配がありました。
●お子様のドイツでの教育については具体的にどのような心配ごとがありますか?
私は、特に決まった駐在期間がない状態での赴任になります。数年で帰ることもあれば、5年、10年残ることも可能性、ゼロではありません。子供の将来を考えた時、ドイツの教育システムは日本と異なっており、日本の小学4年生頃までにその後の進路を決めなければなりません。(※)その後、就職を目指すのか、大学を目指すのかなどによって、小学5年生相当から入る学校が異なってきます。授業もドイツ語での授業が基本になり、駐在の任期も未定であることや他諸点を鑑みて、子供の可能性を広げるためにもドイツ語に慣れさせるために現地校に切り替えました。一方、ドイツから日本へ帰国することになった場合、あまりドイツの教育ばかり意識していると帰国後に日本で苦労すると思います。事実、私も子供の頃に帰国後、学校の勉強についていけないことが多く、初めはとても苦労しました。
※参考記事:ナレッジキャピタル「10歳で将来の分かれ道?!ドイツの教育システム」
●家族の医療ケアについてはどのような心配がありましたか?
自身は仕事柄もあり英語の医療用語も分かるため良いのですが、私がいない時に何かあった時に家族が対応できるか心配でした。ドイツ駐在先の都市は日本人も多く、日本語が通じる病院クリニックなども教えてもらえたので安心ですが、赴任前はどのような環境なのかもわからなかったので、不安でした。
●実際に医療面で困ったケースも駐在当初からあったそうですね。
駐在から3か月経った頃、発熱があった次男が突然の全身痙攣になり、幻覚が見えてるかのように叫び始め、とても焦りました。尋常じゃないと思い救急車を呼ぼうとしても、番号が分からない。同僚から番号を聞いて救急車を呼び私が同乗、現地の総合病院に搬送され、1歳半の子供であるためそのまま付き添い入院となりました。川崎病かも?と疑われ、それにしては症状が違う、ということでいつ退院できるかもわからない入院生活が続きました。最終的に、小児炎症性多臓器症候群(※)と主治医からの診断でした。
救急搬送から病院への入院までの間も以下のような時に不安になったり苦労しました。
・救急搬送時に、救急隊からこれまで解熱剤等への使用薬剤について質問されたが、日本のように販売名ではなく成分名を求められ、即座に説明できなかった。
・病院の入院時の書類が全てドイツ語で翻訳に苦労した。
・病院の入院費がいくらで、いつ払うのか。クレジットカードが使えるかも分からず不安だった。
・病院の医師は英語で話せるが、看護師は英語を話せないこともあったため、片言のドイツ語で意思疎通を図った。
・病院入院中、子供に徐々にむくみが出て下痢も止まらず不安になっていたが、日本と異なり医師が回診に毎日は来ず、退院の目途や検査結果の報告などもなく状況が分からないため不安だった。
※参考記事:Care Net「COVID-19流行期の小児炎症性多臓器症候群、その臨床的特徴は?/JAMA」
●米村さん自身はドイツ駐在後、病気になりドイツの病院を受診したことはありますか?
下瞼(まぶた)にものもらい(麦粒腫)が出来たため薬をもらおうと薬局に予約を取ろうとしたところ一~二週間後と言われたことがありました。交渉したところ直ぐに予約が取れたため、医薬品を処方してもらえたものの、説明もなく使用し続け効果性も不明でこれで良いものかと思いながら使用していました。おそらく患者の医療リテラシーが高く、なんでも医師に聞くのではなく、自分主導で病気に対処する文化、雰囲気があるのだと感じています。実際、薬局(Apotheke)で購入できる医薬品の幅もとても広く、子供の症状を伝えれば適切な医薬品を処方してくれます。
米村祐介氏プロフィール
原田産業株式会社
新卒で原田産業㈱に入社。製薬・研究所向けの消耗品の買い付け、販売に従事後、2011年から医療機器を取り扱う部署に配属。同部署のマネージャーを経験後、海外事業を拡大するため2021年12月からドイツに赴任。
取材担当者
池田宇大
株式会社Medifellow
編集者プロフィール
- 岐阜薬科大学薬学部卒、薬学士。医療機関の経営コンサルティングを経験。大学病院や自治体病院、公的病院の経営改善に従事。その後、HR業界で採用支援コンサルティングを経験。海外駐在員や日本人現地採用、外国人の転職などクロスボーダーの転職・就職支援に従事。
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